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のんびりした人生にも色々起こるものですね。

もう暫くは平穏だと思って連載してみようと思ったのに邪魔が入ったりままなりません。

せめて主人公くらいは柵なく好き勝手に生きてもらいたいものです。

(前書き重いな!)


 孤児院に来客があってクリスティーナが対応に行ってしまった。

しかももの凄く「絶対お姿を見せてはいけません」といい含めて。

本当に王子サマ達といい、ちょっと過保護すぎんじゃないの?と思いつつカップを片付けてから子供たちの様子を見に行くがまだ良く眠っていた。

 出来る事がないので仕方なく、食堂に戻りしばし放心する。持っているものを売るとかしてどうにかお金を稼がないと駄目かなとか、他の国に行くにしても旅装を調える必要があるなとか、既に詰みっぽい状況にうんざりするが、このまま大人しく帰るのも嫌だった。

 いっそのことこのやたらに好かれる愛し子としての性質を利用して、権力のある人間を渡り歩くしかないとまで考えていた。深いため息をついて借りている部屋に行こうとしたところ、人の気配を感じ目をやる。

そういや「絶対にお姿を見せてはいけません」ってクリスティーナ言ってたな…。




「マジでごめん」

「…どうしましょうか、この状況」

「愛し子様が謝る事はありません、何か事情があるのでしょう?」

「そうです、力を貸しますわ!」


 孤児院を訪ねてきたのは隣の国の騎士見習いと同じ国の裕福な商人の娘を中心とした一行だった。

隣の国の騎士見習いと娘さんは従兄弟どうしでお婆さんがこの国の人だったらしい。

騎士見習いのお母様と商人の娘さんのお父様がご兄妹らしい。

そして現在この国に縁のある人は、この国に訪れることがステータスとなっているという事だった。

今代の愛し子である私に縁のある場所を巡るのが流行っているとか、頭痛い。


「聖地巡礼か!!!」


 思わず叫んでしまったのは仕方ないと思う。


「本当ですね、ある意味聖地巡礼です!こちらの孤児院はドレスをオークションという方法で販売し、寄付をしたとして今有名です。この国に旅に来たら一度は寄りたい場所として候補に挙がっています。後は愛し子様が現れたかの有名な領地の場所も。それから愛し子様が仕立てを頼んだ店なんかは予約で一杯でなかなか依頼ができませんし、同じ仕立てを頼みたい貴族も予約待ちだそうですよ!とにかく我々も全て見てまわる予定だったんです!」


 興奮して一気に話すのは商人の娘だというサラさん、さすが商人というべきか恐ろしいほどの情報通。

サラさんのお店の名前をクリスティーナも知っている位には有名な大商人らしい。ちなみにこの国の王都にもお店があるとか。


「母に頼まれて代わりに見てきて欲しいと。丁度休暇があったものですから…サラの護衛も兼ねて」


 目を逸らしつつ話してくれるのは騎士見習いのヴィクトル。プラチナブロンドがサラサラで少年と青年の間のなんともいえない危うい魅力があるなぁ。綺麗な碧玉の瞳は二人に共通していて、血のつながりを感じる。後の大人達は二人のお目付け役兼護衛といった隣の国の人。とはいえ、さかのぼればこの国に縁のある人達だそうで、血が薄くなるほど私への思い入れが薄くなるというのを彼らのお陰で体験として知れたのは良かった。何と言ってもまともな話ができるからである。

 

「私、お父様に頼んで、もっと寄付をしてもらいますわ!愛し子様がいるならもっときちんとしていないと!これまでの愛し子様の好きなものなら暗記するぐらいに本を読みましたわ!」


 今日ここを訪れたのは聖地巡礼として見に来ただけでなく、同じように寄付をするためだとか。

クリスティーナに聞くと私が寄付をした後からそういう事が増えたらしい。なので、現状でも孤児院の状態は格段に良くなっている…らしい。さすがに建物の修繕などにはまだ手がまわらないらしいが。


「愛し子様!愛し子様のお好きなものを私におしえてくださいましね!お父様もお喜びになるわ」

「寄付は無理ない程度にしてね、あなたたちの幸せも大事なんだからね。」

「…っ!愛し子様ぁ~」


 突然サラの体が変に揺れたと思ったら隣にいたヴィクトルが抱きとめていた。どうやら失神したらしい。


「ちょっと興奮しすぎたようです、申し訳ありません」

「横になれたほうがいいね、私の借りてる個室があるからそこ使ってもいいかな?クリス」

「しかし愛し子様、そこは」

「だってもう他に部屋ないでしょ?」


 私が借りている個室は数少ない客間なので、他に空いているベットが無い。なのでヴィクトルをそこへ案内した。サラをベットに下ろすとすぐに部屋を出ようとしたヴィクトルを呼び止めた。


「ねぇ、そっちの国に行くのって可能だと思う?」

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