2.異世界への転生
2.異世界への転生
目がさめるとそこは果てしなく広い真っ白な空間だった。
「あれ…俺死んだんじゃなかったっけ?もしかしてここがあの世なのか?」
(あ、目が覚めたんだね、良かった良かった。)
隼人の頭の中に優しそうな声が直接流れてきた。
「え、誰かいるのか?!」
あたりを見回しても限りない空間が広がっているだけで誰かがいるとは到底思えない。と隼人が考えていると。
(あそっか、僕の姿が見えないのか。ちょっとまってね〜。)
突如目の前が真っ白になり、目の奥が熱くなったと思った次の瞬間目の前にーー上半身裸の男がいた。
「改めましてこんにちは。僕は君たちの世界の言葉でいう創世神ってやつだよ。」
隼人は頭を高速回転させながら目の前の事実を理解しようとしていた。
(この半裸の男が神さま?!冗談だろ……?あ、これは夢か!そうだよな、確か俺トラックに轢かれたはずだもんな。)
「残念だけど僕は夢の中の存在じゃないし本当に神様だよ〜」
「ナチュラルに俺の頭の中を読むんじゃねぇよ!!」
「まあまあ神様だからいいじゃない?それより大事な話があるんだよ〜。」
「そんな感じで流していい話じゃないと思うけど…」
「じゃあ話すね…。この度はご愁傷でした、でも実はね……君本当はここで死ぬはずじゃなかったんだよ。」
「え?それはどういう…。」
「この世界、あぁ君がいたところではね、ありとあらゆる事が運命によって動いているんだ。行動、発言、生死ありとあらゆる全ての物が…。当然君の死ぬ事もあらかじめ決められている。本来は80年後に家族に見守られながら亡くなるはずだったんだけど。」
「じゃあなんで俺はこんなに早く死んだんだ?」
「運命は絶対なんだけど、稀に運命そのものがねじ曲がる事があるんだ。それがいい事か悪い事かはさておきね。君の場合は本来なら起こるはずじゃなかったトラックとの衝突事故に巻き込まれてしまった。」
(じゃあもう向こうには戻れないし、母さんや父さんにも会えないってことか……。)
そう思って家族との思い出を思い出していると涙が目からこぼれてきた。自分は本当に死んだのだという実感と家族ともう会えないという悲しみが溢れてきた。
「ええっ?!どうしたの?大丈夫かい?」
「グスッ……うん…大丈夫だよ……。」
「そうだよね…。いきなりこんなこと言われても混乱しちゃうよね…。でもごめんね、君を生きかえらしたりなんかは出来ないんだ。その代わりと言っちゃなんだけど異世界への転生をさせてあげよう!」
「へ?異世界に転生?そんなこと出来るのか?!」
「うん。仕方ない事とは言え理不尽に未来を奪われたんだ、それくらいはしてあげるよ。稀にとは言え結構な数の人が巻き込まれてる。そういう人には色んな世界で新たな人生を歩んでもらっているんだ。」
「俺の他にも居るんだそういう人…。」
「そうだね〜50人くらいかな?みんな異世界で第二の人生を謳歌してるよ。あ、それと生まれ変わる時自分が生きる世界を決めてもらってるんだけど君はどんな世界がいいかな?」
「いきなり言われても思いつかないな…。う〜ん…あ!例えば魔法が使えたり冒険者になれる所ってあるのか?」
「うんあるよ!君の希望にピッタリのところがね。その世界の名前はね。」
「剣と魔法の世界 ブリューナク」