ありふれたプロローグ
何十年、何百年、何千年よりもずっと前。
人々が忘れてしまうぐらいずっと昔、今まで平和だった世界に突然魔王を名乗るものが現れる。
それは人と呼ぶにはあまりにも醜く、恐ろしかった。
魔王は魔物なるものを操り、瞬く間に大陸中を恐怖の底へと陥れた。
そして、魔王は自身の力を使い大陸を五つに引き裂いてしまう。
人々はただ、それを見ていることしかできなかった。
そんな中、ある日勇者と名乗る人が立ち上がり、魔王討伐へと出発した。
人々はわずかな望みを彼らにかけて、勇者たちを見送った。
勇者が旅に出て、数年がたった頃。
魔王が討伐されたとの声が、世界中に響いた。
同時に、勇者が死んだという知らせも。
人々は喜び、そして嘆いた。
しかし、そんな喜びも嘆きも、すぐに壊されてしまう。
魔王を名乗る、人の形をした何かによって。
ありとあらゆる国が、勇者がくれた平和を取り戻そうと、勇者と名乗れる者を呼び寄せ魔王討伐へと繰り出した。
何人、何十人、何千人が魔王に挑んだのか、それすらもわからなくなるほどに繰り返しても、魔王が討伐されることはなかった。
人々はあきらめ、いつ死ぬかもわからない恐怖の中で生き続けた。
そんな日々の中、国に呼び出され魔王討伐に出かける勇者が三人。
これは、そんな勇者達のありふれた物語。