プロローグ
感想等ございましたらよろしくお願いします。
「父様、僕に魔法を教えてください!」
「おいおい……急にどうしたんだ、ライト」
かすかな風に森林がさざめきあい、暖かい日の光が眩い朝、新緑の木々の中に大きな一軒の邸宅があった。そこでは少年、ライト・サングイスが父アルマートに無邪気に話しかけていた。その様子は、彼の7歳という年齢にふさわしものだ。アルマートは突然の息子の懇願に困惑しつつ、自らが持つ魔導書を閉じる。
「実は昨日、ルーナに魔法を見せてもらったのですが、それがかっこよくて……。そこでどうしたら魔法を使えるようになるのかルーナに尋ねたのですが、父様に教えてもらえと」
「ルーナのやつ、また余計なことを吹き込んだな……」
アルマートは、サングイス家の長女、ライトの姉にあたるルーナには後できつく言い聞かせようと心に決めた。
「まあまあ、ライトも今年で8つになります。そろそろ魔法のご指導をなさってもよろしいのでは?」
「さすが母様!そうですよ父様、僕はサングイス家の長男として、早く立派な魔法使になりたいのです!」
「まあヘレナの言うことも一理あるが……ってライトは魔法使のことまで聞いたのか……」
「はい!ルーナにいろいろ教えてもらいました!」
「はぁ……全くあいつときたら……」
ライトの意見に肯定的なのは、アルマートの妻であるヘレナだ。彼女の意見に、アルマートは更に頭を悩ませる。それと同時に、現在寝室で気持ちよく寝ているであろうルーナのお仕置きが、アルマートの中で決定した。
--魔法使、それは自らが持つ魔力で生み出した魔法を使い、人間の生活を脅かす強力な魔獣、魔物等と対峙する職業である。そのため魔法使は常に死と隣り合わせの職業であり、危険極まりないものである。しかし、魔法使として功績を上げれば多くの人々の賞賛の的となり、また魔法使に憧れを持つ者も多い。現に魔法使という職業は誰もが一度は目指そうとする道であり、サングイス家もまた、代々多くの優秀な魔法使を輩出してきた貴族の家柄である。
「確か、ルーナもこのころに魔法の指導を始めましたよね」
「え、そうなんですか母様?!てっきりルーナはずっとバハムス魔法学園に行っているものかと……」
「まぁそう思っても無理はない。ルーナはライトの物心がつくかつかないかって時に学園に通い始めたからな」