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幻殺少女  作者: 雪水湧多
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三日目 最高の非現実から最低の非現実へ

五十嵐「環さん、悪いけど僕は行かなきゃ...しなくちゃいけないところがあるんだ」

フラつきながらもトンネルの出口へに向かおうとするが。

手塚「その呼び方、昔から変わらないね。よそよそしいよ」

環さんも立ち上がって引き止める。サバイバル映画で危機的状況の中、一人別行動をしようとする人間を止めるかのように。

手塚「それに、やりたいことってなに?手伝おうか?」

五十嵐「ダメなんだ!これは全部僕の責任だ!だから、全部僕がやらなきゃいけないんだ!」

感情が一瞬のうちに高ぶり、拒絶する。

反射的なもの。

構わず僕は足を引きずりながら歩く。

実際、これは僕がいちごに対し明らかに嫌がった態度をとったせいだ。

僕がやらなきゃ。

僕がいちごを止めて、巻き戻させるんだ。

両親の時のように。

それでも、環は

手塚「そんな、一人で背負わないで。こんな事態なんだから、せめて事情くらい...」

五十嵐「やめてくれ!」

手塚「...っ」

僕は、君を一度振っているんだ。なのに、君は僕を助けようとする。どうして何だ、僕は君に嫌われてもいいはず。だから...

これ以上惨めにしないでくれ。

本音。

五十嵐「これ以上、巻き込みたくないんだ」

建前。

だからこそ、この場を立ち去る。線路に落ちる涙は過去の自分だ。僕は涙に背を向け、歩み続ける。最後に一言。謝罪と憤りを込めて。

五十嵐「ごめん」

手塚「...ぁ」


手塚環は優しすぎる。

誰にでも平等でありながら、周りの人に気を使って、自分よりも他人を優先して。

それでも、好きなことや目的のためなら自分を優先できる。

良く言って『良くできた子』

悪く言って『偽善者』

...。

心身ともに器用で、おしとやか。日本人らしい性格の持ち主。容姿端麗、成績優秀な委員長。向上意欲高め、委員長のイメージに当てはまりつつも、どこか抜けたような雰囲気を持つ彼女の周りにはいつも人がいる。

そして

僕が知る限り、最高の読書家。

本が好きで、空いている時間は本を読んでた。本を貸せば一日で帰ってくる。もし、返却が遅くなろうものなら必ず一言告げに、多忙な休み時間の中に『ごめん、借りてた本返すの遅れる』を言うためにわざわざ会いに来る。

そんな彼女に好かれていたのは、他人からすれば誇れることなのだと。そう思える。彼女に告白された時、理由を聞いた。すると彼女は『教えない』と言うのだから、ピュアな心の持ち主なのがまた僕をある意味苦しめたのだ。振るために悩んでない。と言えば嘘になる。その選択だけのために学校を一日休んだほどだ。休んでも、答えを返さず一週間ほど間を開けてしまったのもまた事実。

そんだけ引きずって、出した答えが「NO」だなんて最低だ。

自分でもそう思う。

言い訳を聞いてくれるなら、ひとつだけ。

釣り合わない。

ただ、それだけ。

それだけの理由で断るには十分だと思う。本当に心からそう思えるほど彼女はできすぎているのだ。

人として、この社会の生きる人間として。

できすぎている彼女は、眩しく、僕なんかが触るものならたちまちその輝きを失い、くすんでしまうであろう。この汚れた手で触れて良いものではないのだ。

巻き込みたくないというのも本音だったのかもしれない。

...。

さようなら

また会えたら、一緒に本屋でも行こう。



トンネルをやっとの思いで抜けると、目の前に広がる景色が戦争を連想させた。

建物は崩壊し、どこからか黒煙が昇り、空が黒く染まり、人が逃げ惑い、人が人を殺す。

でも、実際には戦争ではない。

線路の上からでもわかる。

これが、災害。

道路がひび割れ、山は崩れ、民家は火で焼かれ、車は潰れている。

これは現実。

これが現実。

ぽかんと開けた口に煤が張り込んでむせる。

五十嵐「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッっ!」

どうすればいいのか、そんなのわからない。

きっと、正解なんてない。

客観的に見れば正解が導き出せるが、そんなの結果論に過ぎない。百聞は一見にしかず。

映像と、目の前に広がる景色は違うのだ。

救助なんてされない。

それが理解できたものが、きっとここを生き抜ける。それを確信付ける理由が僕にはあった。この街の上空に、人らしき影があるのだから。

ついつい、全話編集してたら書いちゃいました。

にしても、

○○「 」

なんて、この時に使ってたんですねw

この小説では統一しようかなって思ってます。

もし、なくてもいいよーって声がありましたら廃止しようかなと思っています。

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