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幻殺少女  作者: 雪水湧多
28/29

三日目 欠落

ここにとどまり続けおそらく5分間ほど経過していた。僕も、土佐犬もあれっきり口を開いていない。

五十嵐「じゃあ、そろそろいきます」

行き先なんて言わない。止められるから。

止められるのがわかってても、行かなくてならない、やらなくてはならないことがある。

近藤「待って、どこ行く気?五十嵐君。できることなら、あなた怪我してるからここに残って欲しいんだけど?」

土佐犬は、土佐犬なりに考えがあるのだろう。

まぁ、そんなことは知ったこっちゃないが。守りより攻めだ。こちらにはこの状況を打破する策があるんだ。あんたとは違う。そう、いつも他人を見下し、嘲笑い、蹴落とすそれから快楽を得ているアナタとは!

五十嵐「関係ないことです…」

そう反抗した瞬間、強い眠気が僕を襲った。

ツブされる。

そんな感覚。

ああ...怖い。

恐怖。飲み込まれるような闇。

五十嵐「...」

近藤「なぜ黙っているのかしら?」

五十嵐「...」

近藤「黙っていては、それこそ不正解よ」

口が動かない。

土佐犬のプレッシャーじゃない。

これは、失う時の恐怖。

これを自分という存在が消えるといっても間違いじゃない気がする。

『死ぬときは、キレイに死にたい。何一つ四肢が、臓器が欠けることなく、...』

なんて、呑気でマイナスな理想。そんなことを小さい頃から思っていた。

けど、少し前は

『早く死にたい』

『生きることに飽きを感じる』

そんな風にカッコつけてた。

それでも心の奥底でずっと思っていた。

『生きたい』

『人生を楽しみたい』

だから、今直面している闇に怯えている自分がいる。

怖い。

痛い。

寒い。


「ねぇ、キこえる?私の声」

それは、悲しい声だった。

それもひどく、悲しい声。

死に際の小鳥が弱々しく鳴いているかのよう。

だが、それ故に美しい声。

「私を探して、私を取り込んで」

何をいっているのだろう、よくわからない。「私を取り込む」?第一どうやって?

そんな声など心の声だ。

誰かに届くわけがない。

「さぁ、生きているのなら早く起きて、目を覚まして、ここを出て、私を、探して」

そう言い去り、突如目の前が真っ白になった。


「あっ、目覚めた?君は変わらないね」

その声は、土佐犬でも、さっきの声でも、ましてや、いちごの声でもない。

けど、とても聞き覚えのある心地よい声。

「私を覚えているかな?環だよ?」

環...なぜ忘れていたのだろうか。名前だけ忘れていた。そう、三人目。いや、違うな。三回目の子。

僕というちっぽけな人生の中で三回目に告白してきた子。

環。

環さん。

手塚環さん。

あとの二回は誰だっけ...?

「...ぅぅ」

できることならずっと目を閉じて、逃げていたい。だって、

気まずい。

けど、彼女には気まづい空気を感じさせないモノがあった。

包容力なのか、理由は不明。

それは、振った後でも変わらなかった。

何事もなかったかのように、いつも通り話してくれていた。

今も少しずつ気まずい気持ちが薄れて、僕は目を見開いていた。

そんな彼女の見た目はメガネをかけた文学少女。まぁ見た目道理、実に際そうなのだが。

内面は、かなりのお茶目。だが、いつでも真面目気質。

近藤「環さん...五十嵐君と知り合いなの?」

手塚「そうですね、小学校時代からの付き合いです。実は中学では本を貸し借りするような仲でした」

近藤「意外ね、環さんとは釣り合わそうなのに」

ごもっとも。

それが理由で振ったのだ。

僕と彼女は目に見えて釣り合わない。

...

もし、あの時気付いていたら話しかけられたのだろうか?

すごい久しぶりの更新ですね。

なぜ更新したのかは、ふつうに友達に急かされましたw

最近体からなかなか疲れが抜けない雪水湧多でした。

誤字脱字等ございましたらご連絡ください。

また、感想もお待ちしています。

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