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一と小百合と思い出

 1.ヒッチハイク


     1.


 この日は高気圧なのか雲ひとつ無い晴天だった。そのせいで、降り注ぐ太陽の光にアスファルトは熱されて、星一(ほしはじめ)は、グリルで焼かれる魚の気持ちが少し理解できたような気がしていた。星から流れ出ているのは油ではなく、もちろん汗である。太陽に照らされて光る肌は焼き魚に負けない黒さを誇っていた。

 背負っていたリュックを置いて、黒ぶち眼鏡を掛け直して一言。

「クソ。なんで捕まらないんだ」

 星は高校生最後の夏休みを利用してヒッチハイクで、地元福島から東京まで行くことに挑戦していた。宇都宮市まではなんとか来れたものの、四日目で足取りが悪くなった。東京まで、という看板を持ってヒッチハイクをしているのだが、止まった車は星と話すとすぐに窓を閉めて走り去ってしまう。風呂はもちろん入っていない。一応公園の水道で頭と体は洗っているが、肝心の着替えを忘れてしまったので四日間同じ服で過ごしている。

 臭いがなんだっていうんだ。こっちは県外から来た高校生で金も無く知り合いがいるわけでもないんだ。我慢して乗せてくれてもいいじゃないか。むしろ、風呂に入れてくれる気前の良い人はいないのか。

 星は着替えを忘れたことを棚に上げて、周りが悪いと解釈して平常心を必死に保っていた。知り合いがいないのも事実だし知らない土地で一人というのは、相当不安が付きまとうものである。自分が正しいと思っていないと心が折れてしまいそうなのだ。

 歩きながら場所を変えてヒッチハイクすること八時間、この日は一台も捕まらなかった。何台かは止まってくれたが、星が近づくといつも通り走り去ってしまった。今日はここまでか、看板を下げて歩き出した星の目の前に一台の軽ワゴン車が止まった。

 どうせコイツも走り去るんだろ。星は傷付かないように最初から諦めの気持ちを持って軽ワゴンに近づいた。

「まいど!」

 第一印象が大切だと、星は元気良く場違いな言葉を運転者にかけた。

「こんにちは、ヒッチハイクなんて珍しいね。どこまで行きたいの?」

 運転席に座る人を見て星は固まった。雪のように白い肌の可愛い女運転していたのだ。しかし、驚くべきは、この女がどう見ても中学生にしか見えないのである。――乗って大丈夫なのだろうか。ひとまず、行き先を伝えてみた。

「東京まで行きたいんですけど」

「東京までは行かないなー」

「東京方面なら近場でもいいです」

 女は顎に手を当てて目を閉じている。考え事をしているようだった。

「明日なら小山市まで配達に行くから、明日でも大丈夫ならいいよ」

 その予想外の答えに星は飛び上がって、全身で喜びを表した。しかし、問題は残っている。

「そんなに嬉しいの?」

「はい! でも、泊まるとこもないんです」

「じゃあ、私の家にきなよ」

 星の目が見開き止まる。こんな上手い話が世の中にあるのだろうか。なんか裏があるのではないか。しばらく考えていると、女から声をかけられた。

「早く乗りなよ。ここ交通量少ないけど一応国道だから、パトカーが来ると面倒だからさ」

 ここで逃がしたら次は無い。星は覚悟を決めて軽ワゴンに乗り込んだ。


     2.


 十分ほど走っただろうか。助手席に座る星はいつでも逃げられるように、左手をドアノブにかけていた。それに気付いていたのか、女が喋りだす。

「そんな物掴んでなくても、なにもしないから大丈夫だよ。そういえば名前はなんて言うの?」

「……星一です」

「星君かー。私は古賀小百合(こがこゆり)って言うの、よろしくね」

 お互いの名前がわかったところで、星は小百合に疑問を投げかけた。

「お姉さんの歳っていくつですか?」

 小百合は眉間に皺を寄せて、困った様子で答えた。

「女の人に歳と体重は聞いちゃダメって教わらなかった? まぁ、減るものじゃないし別にいいけどね。今は十八歳で福平高校の三年生だよ」

 その言葉を聞いて星は深いため息をついた。なんだ、そんなに警戒することないじゃないか。

「同い年だったのか。若く見えるし喋り方が落ち着いてるから年上かと思っちゃったよ。俺は鏡河高校三年だ。改めてよろしく」

 よろしくね、と小百合も返事をする。

「よく中学生に見られるの。だから、パトカーに止められると誤解を解くのが大変なんだー。ところで、鏡河高校ってどこにあるの、聞いたことない学校の名前だけど」

「福島にある高校だよ。夏休みを使ってヒッチハイクで東京まで行こうと思ってたんだけど、四日目で全然捕まらなくなちゃってね」

「福島から来たんだ。凄いねー」

 ここで星に新たな疑問が生まれた。他の人達は星が近づくと嫌な顔をして走り去ったのに、この小百合という少女は大丈夫なのだろうか。星は外の景色を見るフリをして、自分の脇の臭いを嗅いでみた。予想よりも酸っぱい臭いに涙が出てきた。これなら走り去るのも納得できる。しかし、小百合は大丈夫なのだろうか。小百合の方を見ていると、こっちの視線に気付いて笑顔になる。

「どうしたの? なにか顔に付いてる?」

「いや、臭いが――」

 ここまで言って自分のミスに気付いた。俺の臭い大丈夫? なんて女に聞く男子高校生がどこにいるんだ。なんて切り替えそうか頭を抱えて考える。

「匂い? あぁ私の家は花屋さんなの。だから、この車もさっきまで花を配達してて、花の匂いが残ってるんだよね」

「そうなんだ」

 星は心の中で安堵の息をついた。知らないうちに危機を脱したようだ。そういえば、落ち着いてみると花の香りが車内に広がっていた。

「この香りの花ってなんていう名前なの?」

「んー、いろんな花を配達してるから匂いが混ざっちゃうんだよね。それに、私匂いがわからないの」

「匂いがわからない?」

「そう、小さいときに事故で頭を打ってから匂いがわからなくなっちゃったの。まぁ、別に困ることでもないんだけどね」

 そういうことだったのか。臭いがわからないから狭い車内でも気にせず運転しているのか。星は納得した様子で腕を組み一人で頷いていた。

「そういえば、東京まで行ってなにするの?」

「特に予定は無いけど……、夏休みって長いから暇潰しにいいかなって、それにいろんな人に触れ合いたいし」

「ふーん、暇潰しか。じゃあ私のお願い聞いてくれかな?」

「お願い?」

「うん、今お父さんが怪我してて私一人でお店を切り盛りしてて人手不足なの。お父さんが治るまででいいから手伝ってくれないかな?」

「それはいいけど、どのくらいで治るの? 夏休み終わるまでってなると、さすがにキツイよ」

「ギックリ腰だから、一週間ぐらいだと思うの、だからお願い!」

 手を叩く音に隣を見てみると、小百合が目を瞑り両手を合わせてこっちを向いていた。それを見て星は青ざめた。

「前見てハンドル持って!」

 しかし、小百合は同じ体勢で動かない。

「わかった。手伝うから」

「本当?」

 星の快諾に小百合がやっと動いた。しかし、前方に車が止まっており止まるには距離が足りない。もうダメだと星はシートベルトを力強く握った。次の瞬間、急ブレーキによるタイヤのスキール音が鳴り響いた。恐る恐る前を見ると、鼻の先に車が止まっていた。どうやら、なんとかギリギリ止まったようだ。

「あービックリしたー」

 ハンドルを握る小百合の手が微かに震えていた。狙ったわけでもなく、素で車がいることに気付かなかったようだ。答えるのが少しでも遅かったら……、そう考えると背筋が凍った。

「じゃあ、気を取り直して行こう」

 小百合は今の状況を気にしてないのか、元気に車を発進させた。


     3.


 星を乗せた軽ワゴンが二階建ての一軒家の前に停まった。

「ここが私の家だよ。そんなに綺麗じゃないけどね」

 ここが小百合の住む家か。日がすっかり落ちて家の景観はよく見えなかったが、特に目を見張るとこもない、いたって普通の家に感じ取れた。

「じゃお父さん呼んでくるね」

「え? お義父さんに紹介だなんて、まだ心の準備が……」

「もう、何言ってるの。私じゃ車を駐車場に入れられないから、お父さんに頼むんだよ」

 そう言って小百合は車から降りて行ってしまった。星も小百合につられるように車から降りた。

 外は蛙の鳴き声が辺り一面に広がり、空気がひんやりと涼しかった。近場に田んぼがあって、その水のおかげで程よい空気を保っているのだろう。

 玄関の開く音が聞こえて振り返って見ると、そこには無精髭を生やした中年の男が小百合と一緒に立っていた。その中年の男と目が合うと、眉間に皺を寄せて睨んできた。目が合い睨まれた星は、以前テレビで見たライオンを思い出していた。

「おい小百合、コイツは誰だ?」

 口調まで肉食系で、その姿は牙の抜けていない不良そのものだった。しかし、不良というのは筋が通っていれば意外と話がわかる人種である。

「初めまして、自分は星一と言い――」

「オメーには聞いてねーよ」

 言い切る前に言葉を遮られた星は、口を金魚のようにパクパクさせて固まる。どうやら、話のわからない人種だったようだ。

 見かねた小百合が男の問いに答える。

「お父さん腰痛めて仕事が大変だから、手伝ってもらうように頼んだの。この人は星一くんで私と同じ高校三年生だよ」

「俺はそんなの頼んだ覚えは無いぞ」

「じゃあ、明日から店に出てきて、重い鉢植え運んでよ」

 その小百合の言葉に男の息が詰まる。男の視線が星に移る。

「そもそも、コイツは誰なんだよ」

「星一君って言って、私と同じ高校三年生だよ。夏休みを使ってヒッチハイクで福島からここまで来たみたいなんだけど、特に目的もないみたいだから頼んじゃった」

「ヒッチハイクだぁ? そんなどこの馬の骨だかもわからん奴に店を任せられるか!」

 男の怒鳴り声が響き渡る。しかし、小百合は空気が読めないのか相変わらずの口調で話しを進める。

「大丈夫だよ。車の中でも何もしてこなかったし。あ、この人は私のお父さんで(たかし)っていうの」

 さっきから話している男は、どうやら小百合の父親だったようだ。この怖い人が小百合の父親か。似てないな。そんな関係ないことを考えていると、こめかみに血筋を浮かせている孝と目が合ってしまった。まさに、蛇に睨まれた蛙状態である。

「オメーもさっきから黙ってねーで、なんか言ってみろよ」

 目線を泳がせてから、星は答える。

「というわけで、よろしくおねがいしますお義父さん」

 星のその一言で、孝のこめかみが小刻みに動く。

「オメーにお義父さんなんて言われる筋合いねーよ!」

 孝の怒りは最高潮に達したようである。孝に睨まれ顔を逸らすと小百合の笑い声が聞こえてきた。

「星くん面白いでしょ。お父さんいいでしょ?」

「ダメだ。だいたいオメーは――」

 孝の声が止まり小百合の方を見てると、小百合は真顔で孝を見ていた。その顔は不気味で、本気で怒る孝の方がマシに思える恐怖心が湧き上がった。そこで小百合の一言。

「いいでしょ?」

「チッ、わーったよ。そのかわり俺の腰が治るまでだからな」

 そう言うと、孝は軽ワゴンを駐車場にしまいに言った。

「そういうわけで、よろしくね」

 小百合の顔はいつも通りの笑顔が戻っていた。あの顔はなんだったのたろうか。疑問に思考を凝らしていると、孝が咳き込みながら軽ワゴンから降りてきた。

「なんだあの臭いは、なに積み込んだんだ」

「普通に花を運んだだけだよ。あ、あと星君乗せただけだよー」

 孝の鋭い視線が星を捉える。

「オメーの臭いかこれは」

「同じ服を四日ぐらい着てますし、風呂もろくに入ってないんで俺かもしれませんね」

 頭をボリボリ掻きながら孝に答えると、隣にいた小百合が静かに離れていくのがわかった。

「さっさと風呂に入って来い!」

 孝の怒鳴り声がこだました。


 2.古賀生花店


     1.


 時計の秒針が五時を指していた。星は着替え終わり布団を畳んでいた。

 昨日は風呂からあがって部屋に案内され、そのまま寝てしまったので、何時から仕事が始まるのがわからないので、いつでも行けるように準備したのだ。片付けが終わり部屋の扉に手をかけようとした瞬間、勢いよく扉が開き、目の前に孝が現れた。

「おはようございます」

 星は反射的に体を直角に曲げて挨拶をした。

「なんだ、もう起きてたのか。コイツで叩き起こしてやろうと思ったんだがな」

 そう言って孝は、手に持っていた竹刀を振っていた。……先に起きて良かった。

 孝のあとに続いて居間に向かう。孝の足取りは悪く壁に手をつきながら進んでいた。星や小百合の前では気丈に振る舞っているものの、腰の容態が悪いのは想像に難くなかった。

 居間に着くと、すでに朝食が並んでいた。白米に味噌汁、焼き魚と卵焼きと納豆と日本人らしい朝食の内容だった。

「あ、おはよう。よく眠れた?」

 台所の暖簾(のれん)から小百合が頭だけを出して話しかけてきた。

「おかげさまでよく眠れたよ。布団で眠るなんて久しぶりだよ」

 ふふっ、と小百合は微笑み台所に戻っていった。小百合の笑顔を見ていると、一日が頑張れそうだ。

 小百合が台所から戻ってきてから、孝と小百合と星の三人揃って食事をした。寝起きの朝ということもあってか、会話は少なかった。

 小百合の方を見ていると、あることに気付いた。小百合が頻繁に醤油や塩をおかずにかけているのだ。星も孝もかけずとも食べられるので、味が薄いということはないと思うのだが……、いや、味が薄かったとしても、いくらなんでもかけ過ぎである。

「小百合、醤油とか塩かけすぎじゃない? 高血圧になるよ」

 星のその言葉に孝が反応を示す。

「小百合だぁ? もう下の名前で呼び合うほど親しいのか。あ?」

 ……論点はそこなのだろうか。咳払いを一つしてから、同じ質問をしてみる。

「小百合ちゃん、醤油とか塩かけすぎじゃない?」

 孝は納得したのか、味噌汁を啜っている。小百合は星の質問に答えた。

「実は私ね、小さいときに事故で頭打ってから嗅覚障害があるんだ。匂いがわからないから、昨日は星君を車に乗せても大丈夫だったの。ご飯は味が薄く感じるだけで、あとは別に不自由なこともないんだけどね。あと、その時にお母さんを亡くしちゃったの」

 居間に重い空気が漂う。

「変な空気にしちゃってごめんね。さぁ、ご飯食べちゃおうか」

 明るく振る舞う小百合に星が聞く。

「お母さんは今どこにいるの?」

 最初質問の意味がわからなかったのか、しばらく固まってから口を開いた。

「隣の部屋にいるけど……」

 小百合に聞いてから星は立ち上がった。

 隣の部屋に行くと仏壇に二本の線香が煙を上げて灯っていた。星はその仏壇の前に座り遺影に写る小百合の母親に向かって話しかけた。

「挨拶が遅れてすみませんでした。少しの間だけお世話になる星一です」

 そう言ってから、星は線香をあげた。

 小百合は部屋の入り口で星を見つめ、孝は気にしていないふりをしながら、片目だけを開きその様子を傍観していた。


     2.


 軽ワゴンに乗り込む星と小百合。時刻は午前六時。天気は晴れで今日も暑くなりそうだった。

「気をつけてけよ。あと、オメー小百合になにかしたらわかってんだろうな」

 孝は小百合にねぎらいの言葉をかけて、星には睨みつけながら脅してきた。小百合になにかする前に、星がなにかされそうな勢いである。

「じゃあ、お父さん行ってくるね」

「おう」

 アクセルを踏みすぎたのか、軽ワゴンのエンジンが唸り始める。そして、次の瞬間、ドラッグレースさながらのロケットスタートを見事に決めた。

 窓を開けるにはまだ早い、夏の冷えた空気が新鮮で心地よかった。

「僕はなにをすればいいの?」

「えーとね、これから花を買いに行くから、その花を積んでほしいの。簡単でしょ?」

 ようは、孝がいつもしている力仕事をしてほしい、ということらしい。お客さんと話したり花束を作ったりすることを想像していた星は、拍子抜けして助手席で肩を落とした。星は力仕事より、人との関わりがある仕事のほうが好きなのだ。

「そういえば、なんで腰痛めたの?」

 星はまだ孝が腰を痛めた理由を聞いてなかった。花の積み込みのときに痛めたのだろうか。もしそうなら、あの気合の塊のような人間でも体を壊す花を、自分のような一介の高校生が持てるのだろうか。星は急に不安にかられた。

「お父さんが腰を痛めた理由? 教えてもいいけど、絶対他の人に言っちゃダメだよ」

 そう星に注意を添えてから、小百合は続けた。

「お父さん趣味でバイク乗ってるんだけど、山でバイクを倒して起こせない女の人を見つけたんだって。そして、その倒れたバイクを起こそうとしてギックリ腰になったの。いい歳してカッコつけるからこうなるんだよー」

 馬鹿だよね、と小百合は笑っている。星もつられて笑い出す。

 孝の話で盛り上がっていると、いつの間にかビニールハウスが連なる畑に着いていた。

「普通なら花市場っていう所で花を仕入れるんだけど、うちは個人で直接買いに来るの。うちの花屋は結構古いから、こういう付き合いも多いんだー」

 車から降りて深呼吸をする星。日が昇り程よく暖まった空気が肺に満たされる。朝早くて眠いがこの感じは嫌いじゃない。

「小百合ちゃん、おはよう」

 この畑で花を育てているお爺さんが小百合に挨拶をする。小百合も、おはようございます、と返事をした。星はお爺さんを見てお辞儀をする。すると、お爺さんは星を見つめて一言。

「小百合ちゃんの彼氏かい?」

 お爺さんは小指を立ててニヤニヤしている。

「い、いや……」

 頬を赤らめた星は、軽く俯きながら視界の端で小百合を見てみる。小百合は考える素振りも見せずに、手をヒラヒラさせながら即答した。

「やだなぁ小野さんったら、ただのお手伝いさんですよ」

 星は肩を落とした。少しは悩んでくれてもいいのに……。

 落ち込んでる星を見て、小野が話しかけてくる。

「きみ、名前は?」

「星一と言います。よろしくお願いします」

「星君か。じゃあ星君にはちょっとだけ小百合ちゃんと仲良くなれる昔話をしてあげよう」

 星と小野の秘密の会話が始まった――。


 気付けば太陽が沈み、カラスの姿は消えて、その代わりに蛙が鳴き始めていた。小百合は店の奥の机でシャーペンを片手に、最後の仕事をしていた。

「星君、疲れた?」

「もうヘトヘトだよ」

 花屋と聞けば、ただ花を売ればいいものだと思っていた。だが、現実は違った。

 花は生き物だから延命させるのに水揚げと呼ばれる茎を斜めに切り、水を吸いやすくさせることをしなくてはならない。場合によっては、お湯で煮たりすることもある。素人からすれば料理以外で葉物を煮るなんて発想は出てこないだろう。

 この水揚げをしている間にもお客さんが入り乱れ、店内は戦場さながらの慌しさを出していた。

 星が水替えや雑務をしている時に小百合は花の値段を決めたり、花のアレンジをして花束等を作っていた。手際よく何十個も花束を作り笑顔でお客さんと接する小百合を見て、この道で長いことやっていて、同じ歳なのにもうプロの域に達しているのだな、と星は小百合を羨んだ。

「終わったから行こうか」

 小百合の掛け声で店のシャッターを閉めて、小百合の家に向かって軽ワゴンを走らせた。

 小百合の家に着くと、昨日と同じように孝が出てきた。

「オメー、小百合になにもしてねーだろうな」

「なにもしてませんよ」

 星は首を振って必死に無罪を訴えた。

「じゃあ、私はご飯作るから、二人は先にお風呂に入ってて」

 そう言って小百合は家の中に姿を消した。

「……二人はお風呂入っててって、お義父さんと一緒にお風呂に入れってことですか?」

「なんでテメーと風呂に入らなくちゃならねーんだよ。それに、お義父さんって呼ぶな」

 孝が軽ワゴンを駐車場に入れてる隙に、星は逃げるように家の中に入った。

 居間に座り、止まることの知らない時計の秒針を眺めてみる。時間の流れが長く感じる。ぼーっとしていると、軽ワゴンをしまった孝が戻ってきた。

「なんでこんなとこにいるんだ」

「すみません。居間にいたら邪魔ですよね」

 星は孝に邪険に扱われているものだと思い、部屋に戻ろうと立ち上がった。

「あ? 何言ってんだ。風呂に入っちまえよ」

「い、いや、家長であるお義父さんを差し置いて、一番風呂に入れませよ」

「オメーの言う家長が先に入れって言ってるんだから、言うこと聞いてさっさと入って来い」

 孝の男気溢れる言葉に、星は心打たれた。

「お義父さん……」

「……オメーそんなに俺と喧嘩してーのか?」

「失礼します!」

 星は走って居間から脱衣場に逃げ込んだ。ここに逃げ込めば大丈夫だろう。

 脱衣場で服を脱ぎ風呂場に入る。蒸気に眼鏡が曇る。椅子に座り眼鏡を台座に置いて頭を洗っていると、脱衣場の扉が開く音が聞こえてきた。

「星君、入るよー」

「うぇ?」

 小百合の声に驚き変な声が出てしまった。

「ごめんねー。タオル置いとくの忘れちゃった」

 どうやら、脱衣場にある棚にタオルをしまい忘れてしまったようだ。一枚の扉を挟んで小百合と裸の星、この状況をお義父さんに見られるのは避けたい。

「大丈夫だよ。それよりも料理の途中だし台所に戻ったほうがいいんじゃない」

 さりげなく、小百合が脱衣場から出て行くように誘導してみる。

「晩御飯はもうできたから心配しなくても大丈夫だよ」

 星が心配しているのは、これをお義父さんに見られることによる身の危険である。そんな考えをしている星をよそに、小百合は話続ける。

「ありがとうね。星君が来てくれてお店助かってるよ。お父さんも表じゃあんなだけど、本当は星君のこと気に入ってるから」

「僕嫌われてるんじゃないの?」

「そんなことないよ。あんなに喋るお父さん久しぶりに見たもん」

「俺はなにもしてないよ。むしろ、なにもできてないよ」

 そう、俺はまだなにもできないのだ。

「そんなことないよ。とにかく、ありがとう。晩御飯できてるから早く上がってきてね」

 小百合が脱衣場から出て行って、なんとか危機は去ったようだ。

 風呂から上がり居間に行くと、大皿に餃子が山盛りに乗っていた。

「おう上がったか。せっかく福島からここまで来たんだから、宇都宮名物の餃子でも食ってけ」

 餃子を見て星は青ざめる。

「誠に申し訳ないんですけど、僕、餃子苦手なんです」

「――はぁ?」

「いや、食べられないことは無いんでけど、あの食感がダメなんですよ」

「かーっ。餃子の美味さがわからないなんて、オメー人生損してるよ」

 星にとっては、餃子を食べるほうが人生を損してる気分になるが、そんなことは口が裂けても言えない。

「小百合、ビール持ってきてくれ」

「今日はもう終わりだよ」

「そんな、かてー事言うなよ。あと一本でいいからよ」

「もう、しょうがないなー」

 小百合が台所に消えて、居間には星と孝の二人きりになる。

「オメー俺と勝負しねーか? じゃんけんでオメーが勝ったら餃子は俺が食う。そのかわり、俺が勝ったらオメーも餃子を食え」

「どうしても、僕に餃子を食べさせたいんですか?」

「どうしてもってわけじゃねーが、ゲーム感覚で食ったほうが嫌いなものでも少しは美味く感じるだろ」

 そう言って、孝は笑った。

 そこに、ビールを持った小百合が戻ってきた。

「なになに、なにが始まるの」

「餃子を賭けた戦いだよ」

「なにそれー」

 この日の晩御飯は、古賀家で一番騒がしい夜になった。


 3.小百合の秘密


     1.


 昨日は大変な目にあった。星は結局負け続けて、餃子の山の八割ほどを食べることになってしまった。そのせいで、今日は気分が優れない。花に水を与えながら昨日のことを思い出して気持ち悪くなる、悪循環にすっかりはまっていた。

 店の中央で小百合は接客をしていた。

「いらっしゃいませ」

「趣味で花を育ててみようと思うのだけれど、なにがいいかしら?」

 目つきが悪くて、紫色の服が目立つ太めのおばさんが、小百合に花について質問している。

「今の季節で有名な花なら、サルビアなどどうですか? 燃えるように真っ赤な花びらは見てて綺麗ですよ」

「ただでさえ暑いのに、なんで赤い花びらなんて見なくちゃならないのよ」

「それなら、マリーゴールドの鮮やかな黄色は見ごたえもあって、おうちの庭も華やかになりますよ」

 小百合はお客の要望を聞いてすぐにオススメの花を紹介できるあたり、さすが花屋の娘だな、と思わずにはいられない。

「あなた、この匂いの花はなんて言うのかしら?」

「え? 匂い……ですか」

「そうよ。この匂いが気に入ったから、この匂いの花に決めたわ」

「申し訳ありません。その匂いの花はわかりません」

「なっ、あなた花のプロでしょ。なんでわからないのよ」

 攻められる子百合を見て、見かねた星が助けに行く。

「おい、おばさん、それくらいにしとけよ」

「誰がおばさんですか!」

 お客さんは茹蛸のように顔を真っ赤にさせて怒っている。それに気付きながらも、星は言葉を続けた。

「小百合ちゃんはな花がわからないわけじゃないんだよ。匂いがわからないんだよ。おばんさんは好きな匂いがわかるんだから、一本ずつ嗅いで選んでください」

 星が言い切ると、客の女は小百合のほうを見た。その目は可哀想なものを見る目、捨てられた子犬でも見るかのような哀れみの目をしていた。

 女は結局何も買わずに出て行った。客がいなくなった店内で、小百合が星に詰め寄った。

「どうして、あんなこと言ったの?」

「どうしてって……、小百合ちゃん答えられなくて困ってたから、助けようと思って」

「私なら大丈夫だから、余計なことしないで」

 小百合はそう言ってお店から走り去ってしまった。走り去る間際に見せた顔には、頬を伝う一筋の涙が光っていた。

 店内に一人で立ち尽くす星。

「どうすんだよこの状況……」


 玄関の扉を開ける星。玄関はいつもよりも重く感じられた。

「ん? なんでテメーがこの時間に帰ってくんだ?」

 小百合のいなくなった状況で店番をするのは無理だと判断した星は、歩いて家まで帰ってきたのだ。

「小百合ちゃんが走って出て入ちゃって帰ってこないんで、店のシャッターだけ閉めて帰ってきました」

「小百合が走って出てっただぁ? テメー小百合になにしたんだよ」

 孝の顔が鬼の形相に変わる。身の危険を感じて、星はすぐさまにお店であったことを説明した。

 ――星の話を聞いた孝は煙草を吸いながら遠くを見ていた。煙草の煙と一緒に孝の口から言葉が発せられた。

「小百合は自分が障害者の扱いをされるのが嫌なんだよ。考えてもみろ。物が見えて掴めて歩ける。日常生活に何一つ不自由してないんだ。それなのに嗅覚障害ってだけで周りの見る目が変わっちまうんだ」

「僕はそんな目で見てませんよ」

「無意識にそう見てるから店でそんなこと言ったんだろ」

「違いますよ。ただ……、困ってる小百合ちゃんを助けたかっただけなんです」

「それが余計なお世話ってやつだよ」

 孝は新しい煙草に火を付けてから立ち上がった。

「どこ行くんですか?」

「どこって店に行くんだよ。まだ閉店の時間じゃないのに閉めてたら苦情が来るだろ。小百合はあっちの丘の上にある高台にいると思うから、お前が迎えに行って来い」

「俺は……」

 星は自分一人で小百合と会う勇気が持てずに悩んでいると、孝が顔を近づけて鋭い眼光で睨んできた。

「……行け」

 星は思わず答える。

「はい……」


 孝に教えてもらった方向に歩き十分。山頂に高台がある小さな丘に辿り着いた。

 孝の話では、小百合は嫌なことがあると昔からこの高台に来ているらしかった。そんなプライベートなことまで知っている孝を、星は別な意味で恐ろしく感じていた。

 高台に着くと、小百合はベンチに座りどこまでも続く空を眺めていた。

「小百合ちゃん!」

 星の呼びかけに小百合の肩が反応した。

「なんで星君がこんなところに?」

「お義父さんに教えてもらったんだ。そして、小百合ちゃんを迎えに行って来いって頼まれた。さぁ、帰ろう」

 星が手を差し出すが、小百合は無視して立ち上がった。やはり怒っているのだろう。小百合は星を置いて一人足早に高台を後にしようとしていた。

「お義父さん、もう腰大丈夫みたいで明日から仕事に戻るって言ってたから、僕、明日にはここを離れるよ」

 その星の言葉に小百合の足が止まった。しかし、小百合からの言葉は無い。代わりに星が話しを切り出した。

「最後の晩御飯は僕に作らせてくれ。実は僕、料理人を目指しているんだ」


     2.


 時計の針はもうすぐ二十一時を指そうとしていた。

「あいつどこまで買い物に行ったんだろうな」

 孝はテレビに映るバラエティ番組を見ながら呟いた。

 星が料理を作ると言い出して、その材料の買出しに行ったきり帰ってこないのだ。星が家を出てから三時間が経とうとしていた。孝の口頭の説明だけで小百合のいた高台まで辿り着けるのだから、方向音痴で迷子になったということは無いだろう。そう考えると、なにかの事件に巻き込まれたのかも……。

 小百合はさっきまで星に対して抱いていた怒りを忘れて、その代わりに心配で不安な気持ちが胸いっぱいに広がっていた。

「お父さん、ちょっと探してくるね」

 小百合が星を探しに行こうと玄関先まで行ったところで、星が帰ってきた。しかし、とても買い物に行ってきた姿には見えなかった。

「どうしたの、それ……」

 星は小百合が洗濯した綺麗な服で買い物に行ったはずなのに、どういうわけか、綺麗な部分を探すのが難しいほど泥だらけになっていた。それに、よく見ると顔や腕に擦り傷まである。その手に持つ袋の中身までは見えなかった。星は頬を掻きながら、遅くなってごめん、と謝った。

「少し山まで材料調達に行ってた」

「や、山? なんで山なんかに行ってたの」

 星が持つ袋の中身は、山で取ってきた山菜の類なのだろうか。山菜と言えば春が主流だと思うが、夏に食べられる物もあるかもしれない。

「とりあえず、居間で待っててよ」

 小百合は星に背中を押されて、居間に戻って行った。

 ――星が帰って来てから一時間ほどが経ち、時計の針はさらに一周した。

「へい、おまち!」

 星の声に反応して振り返って見ると、そこには、よくテレビで見るような白いコックコートを着た星が両手に料理を持ってきた。

「どうしたのその服」

「僕は料理人を目指してるって言ったじゃん。だから、着替えを忘れてもコックコートだけは持ち歩いてるんだ」

 なにが入ってるのかと思っていたリュックサックの中身は、このコックコートだったようだ。小百合は一つ質問をしてみる。

「普通は料理人の命の包丁とかを持ち歩くんじゃないの?」

「俺の目指している料理人は普通じゃないから、包丁は持てないんだ」

 いくら考えても、星の言ってる意味が小百合にはわからなかった。

「冷める前に食べてください」

 目の前に出された料理は肉厚の玉ねぎを炒めたものだった。こんな物が星が食べさせたい料理? 正直美味しそうに見えないし、食べたいとも思わない。しかし、せっかく作ってもらったものを残すわけにはいかない。小百合は両手を合わせた。

「いただきます」

 小百合が一口食べようとしたところで、星に止められた。

「ちょっと待って、小百合はこれを意識して食べてほしいんだ」

 そう言って、星は味覚地図と書かれた舌のイラストを見せてきた。

「これは味覚地図って言って、人の味覚を感じやすい場所を書いたものなんだけど――。まず、舌の先端は甘味、先端の両端は塩味、真ん中の両端は酸味、下の奥は苦味、これを意識すると味を感じやすくなるから、調味料を足す必要はないよ」

 星は小百合の食事の仕方を見ていて、体によくない、と味をしっかりと感じられるように味覚地図を描いてきたのだ。この心遣いだけは、もうプロの料理人のようで、小百合にはカッコ良く感じられた。星を見つめる小百合を見た孝は、咳払いをして食事を促した。

「おら、冷めちまう前に食っちまうぞ」

 小百合と孝は玉ねぎを一口食べてみる。その食感は驚くことに、ジャガイモに近いホクホクとした食感だった。しかし、不思議なことに、なんだか懐かしい味に感じた。

「これ、どこかで食べたことある……」

 小百合は料理を見て考えにふけっている。孝も一生懸命どこで食べたか思い出そうとしていた。

「これは、ユリ根ですよ」

 星が先に答えを言った。すると、小百合より孝のほうが大きい反応を示した。

「ユリ根だと? これをどこで知った?」

「小野さんのとこに花を買いに行くときに、小百合ちゃんと仲良くなれるようにって昔話をしてくれました。その時に、小百合のお母さんの咲さんがユリの花が好きだったと聞かされました。

 咲さんはユリが好きで、娘の名前は小百合にしたそうですね。昔はユリを根っこごと買って行ったが、咲さんが無くなってからは買うことはなくなってしまったとか。そこでピンときました」

「なにがきたんだよ」

「お客さんでユリを求めてる人がいるなら、咲さんが亡くなってもユリは買うはず。しかし、買わなくなったということは、ユリを求めていたのは咲さんです。ユリが好きな咲さんですから、ユリ根の存在は知っていたでしょう。根っこごと買ったユリは食用に買ったのです」

「……それで、オメーも小野さんとこからユリを買ってきたのか」

「いえ、僕は買いませんでした。いや、買えませんでした。咲さんが買わなくなってからユリの売れが悪くなった為、ユリの栽培は廃業にしたらしいです」

「なら、どこで採ってきたんだ」

「山ですよ。小百合がいたあの高台のある小さな丘に、ヤマユリが生えていると小野さんが教えてくれました」

「そうか、だからオメーは帰ってきたときに泥だらけだったのか。だが、どうしてここまでのことをする」

「僕は思い出の料理人を目指しています。だから、宿を提供してくれた恩は思い出の料理で返すことに決めました」

「思い出の料理人?」

「えぇ、僕はおばあちゃん子でした。おばあちゃんが作る白くて甘い温かい飲み物が好きでした。しかし、おばあちゃんが亡くなり飲めなくなってしまいました。おばあちゃんが僕に飲ませていたものは何だかわからずに数年の時が経ちました。

 その日はコーヒーを飲もうを思っていましたが、偶然にも切らしていて、仕方ないのでクリープをお湯で溶かして飲みました。それが、おばあちゃんの甘い飲み物の正体です。なんの変哲の無いクリープをお湯で溶かした飲み物は、僕に懐かしい気持ちと安らぎをくれました。

 その時に思ったのです。思い出の一品を提供する料理人になりたいと。たいした物でなくとも、思い出をトッピングすることで美味しさが増して、人を幸せにできると考えたのです。思い出を料理するわけですから、包丁もその家のものを使わないとダメな気がして、自分のは買わないようにしています」

 星が料理人になる理由を聞いた小百合は、お母さんが昔作ってた味がする、と瞳に涙を浮かべながら言った。


 4.エピローグ


 古賀家から出た星は国道沿いにある自動販売機の前でジュースを飲みながら、初めて自分を料理人と称して出した料理の反省をしていた。小百合は母親である咲が昔作っていた味がすると喜んでくれていたが、孝の反応はイマイチだった。おそらく、星の料理の腕じゃまだ咲の料理の再現はできないのだろう。

 あの時の状況では、あれが最高の料理だった。仕方ない。

 星は自分に言い聞かせて、腕を組み一人で頷いていた。しかし、やはりどこか納得できない部分があり、胸の奥がもやもやしている。そこに、一台の車が止まった。

「釣れたか」

 星は、東京に行きたいです、と書いた看板を置いて待機していたのだ。

 星は昨日の料理の報酬として小百合から受け取った、ユリの花を片手に車に乗り込んだ。

「まいど!」

 2015年のラ研のGW企画に投稿したものになります。

 三日三晩で書き上げたもので最後は体力の限界で単調になってしまったので推敲して書き直すつもりでしたが、時間が経ってしまったのとユリネの旬の時期が大幅にずれてしまっているという大きな欠点から、書き直さずそのまま投稿することにしました。

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