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第九話「妖精には全てお見通し!?

遅れましたが九話です!!

拝啓父上様。

出張先のアマゾンはどうですか?

私の中でアマゾン=ワニとなっているので心配です。日本は政治不信や、結婚する割合が減っていたり、熟年離婚や少子化でいろいろと問題で満ち溢れてはいますが、今日もなんとか平和に進んでいます。

しかし、私はあろうことか妖精を拾ってきてしまいました。しかも、恋の妖精らしいのです。

確かに私は京くんに片思いをしており、それを手助けしてくれるのは、内気な私にとってはありがたいのですが、しかし正直私の恋よりも現在離婚届とにらめっこをしている母と父の恋愛事情をどうにかしてほしいと心から感じております。

そういえば、母がこの前父の部屋のフィギアを売ってブランドバッグを買っているのを見ました。

年々父の部屋から物が消えるのを見て、ぜひとも居場所がなくなる前に帰ってきてほしいと思っています。                                

                                   立川日向より


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「恋の妖精・・・・?」

「そう、あなたの恋をわたくしは叶えにきたのですわ」


そう言って恋の妖精マリーは、ドレスの裾をつかんでお辞儀をした。

真っ赤なドレス・・・・最近でいうロリータファッションに長い金髪を縦ロールにした妖精。

一目で育ちの良さがわかった。


「でも・・・・どうして私が恋をしているって知っているの?」

「それはもちろん、これが私の課題だからですわ」

「課題?」

「恋の妖精は人間の恋を叶えることで一人前になるのですわ」

「恋を叶えて一人前?」

「あなたは霧崎京に恋をしている。その恋を叶えることが私のラブミッション!なのですわ」

「ちょっ、なんで私が京くんに恋をしてるって知っているの!?」


それにマリーは「チッチッ」と言いながら指を立てた。


「なんでも知ってますわよ。あなたが霧崎京についての観察日記・・・・「京くん日記」を毎日つけていることも、体育祭の時に最新カメラで霧崎京を連写していることも、放課後誰もいない時間にさりげなく霧崎京の椅子に座ってみたり、霧崎京のーーーー「ストーップ!」


先を言わせまいと、マリーを両手で握った。

その力にマリーは苦しくて言葉を紡げない。


「うっ・・・・立・・・・花・・・ひな・・・」

「もう黙って!!それで、あなたは私の恋を叶えにきたんでしょ?ならこんな過去の話なんてどうでも・・・」

「そのま・・・えに・・・・は・・・早く・・・し・・・しんじゃ・・・」

「ごっごめんなさい!!」


あわててマリーを手から降ろす。マリーは助かったと安堵しながら、それでも苦しくて咳き込んだ。


「あー死ぬかと思ったわ。一瞬走馬灯のようなものが・・・・」

「本当にごめんなさい」

「ま、まぁいいわ。とにかく、私が言いたいのは、このままじゃあなたは負けるってことですわ」

「まっ、負ける!?」

「ええ、あなたのところに私が来たように、霧崎京のところにも妖精が来ているの」

「それってつまり・・・・」

「ええ、彼が誰かに恋をしていることは間違いないのですわ!!」





「へっくしゅんっ!!」

「あら京くん風邪?」

「いや、なぜか寒気が・・・・」

「それはまさしく風邪の前触れじゃない!今日は早く寝るべきだわ」

「でもなぁー、お前が必死に恋人リスト出してるからな・・・・」


そう。リリーは先ほどから、学校でリストアップしてきた女子生徒から恋人候補を選んでいるのだ。


「これも、京くんのためよ☆」

「ウインクしても騙されないからな。絶対恋しないから」

「そんなこと言って~本当は京くんも恋したいくせにぃ~」

「何だそのキャラは・・・・ていっ!」


京はリリーから小さなリストを取り上げて捨ててしまった。


「あっ、あなたなんてことを!!これがいわゆるドメスティックバイオレンスというものね!?」

「元凶はお前だろうが!!」

「いいわ、あなたがそういう気ならこちらにも考えがあります!!」

「・・・・なんだその考えって・・・」

「実はストックがあと1350冊からいいもの!!」

「・・・はい、ちょっとそれ見せてみ?」


真顔でリリーに手を伸ばす。その顔はおそろしいほどに笑っていなかった。


「え?ちょっ、待って京くん。嘘だよ?そんな蔑んだ目で私を見ないで!?あっ、でもちょっとゾクゾク・・・・・ちっ違うの!私は変態なんかじゃないの!!」


そして、しばらく京はリリーを無視し続けた。それによって、リリーが新たな属性・・・・ドМに目覚めかけていることを知る由もなかった・・・・。


◆◆◆◆◆◆◆◆


「そ・・・それで京くんが好きな人って!?」

「それは・・・・・」

「そ、それは?」

「それは・・・・あっ、もうこんな時間。夜更かしはお肌の敵だからわたくしはもう寝ますね」

「えぇ!?待って!そことっても重要だよ!?」

「おやすみなさーい・・・・ですわ・・・」

「・・・・・本当に寝てるぅぅぅぅぅぅ!!」


その晩、日向が気になって夜寝れなかってのは言うまでもない・・・・。





ありがとうございました!!

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