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第七話「恋×妄想×日向」

「私・・・・あんな女にだけは負けないわ!」


前回、完璧な女に出会ったリリーは絶望し、決意を固めたリリー。

だが、そんな彼女の決心もむなしく物語は進む。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆

今日はいつも通りの日常。でも私、立川日向にとってはそのいつも通りが幸せなの。

現在午前10時30分、今日も京くんはすてき・・・・と。

私は今日も、当たり前のようにノートをとる。

それはもちろん、数学なんかじゃない。京くんの素晴らしさを記録した「京くん日記」

恋する乙女には必要なもの。なにより、数学なんて退屈なだけ・・・・でも、京くんが数学を頑張るなら、私もがんばるわ!!

でも、そういえば京くん昨日はどうしたのかしら?

風邪で早退したって聞いたけど、今日は大丈夫なのかな?

それとも、無理をして学校に!?それは嬉しいけど、でも無理してまで学校に来て体調を壊したら・・・・あぁ、京くんに直接聞けたらいいのに!でも、この場合なんて聞けば!?

霧崎くん、昨日大丈夫だった?

・・・これじゃあ普通ね。

じゃあ、霧崎くん昨日風邪で早退したんだって?みんなに風邪移さないでよね!!

違う!!これじゃぁ性格悪いって思われちゃう!!

でも、そもそも私は京くんと一度も会話をしてことがないし、私が心の中で名前呼びしていることも知らない。そんな私が話しかけても「え?何この女」って思われるにきまってるわ!!そもそも、京くんにすでに好きな人がいたら、私はどうすれば・・・少女漫画みたいにバトルを繰り広げる自信がないし・・・


「立川!!」

「はっ、はい!!」


突然呼ばれて、裏返った声を出してしまった。

(なんて恥ずかしい・・・・)


「立川、この問題を前に出て解いてみろ」

「え?・・・・は・・・・はい」


(どうしよう・・・・)


完全に自分の世界に入っていたため、先生の話をまったく聞いていなかった。

そのためもちろん、どの問題を解けばいいのかなんてわかりもしない。


(誰かに聞く?でも、この状況で聞くのは・・・・・。友達とも席は離れてるし)


悩みながら黒板へと向かうが、打開策はない。

そこで彼女の列の一番前に座る京の席へと近づく。そこを通り過ぎれば黒板だ。


(ここで先生に聞いてませんでした・・・・なんてきっと京くんは呆れちゃうわ。私の第一印象が先生の話を聞いてない人になっちゃう!!)


そこで、京の脇を通り過ぎようと差し掛かったとき、教科書がさりげなく私の視界に入ってきた。

そこには、問題の番号に赤ペンで丸がついてあり「今ここの問題」とまで書いてあった。

それを見て、もともと数学が得意な私はすぐに解くことができる。

でも、私にとってそんなことよりも問題があった。

それは、私に教科書をさりげなく見せてくれたのが京くんだったということ。

にやけたくなる心を押さえ、すぐに私は黒板に問題の解答を書く。もちろん正解。

それにクラスの友達は感心してくれたけど、私にはそれどころではなかった。

それと同時にチャイムは鳴った。


「あっ、あの霧崎くん」

「ん?」


休み時間、勇気を振り絞って声をかけた。


「あの、さっきはありがとう・・・そも、問題」

「あぁ、気にするなよ。困った時はお互い様だろ」

「う、うん」

「そんじゃな、立川」


そのまま教室から出ていく京くん。


(今、今・・・今私のことを立川と・・・・立川とお呼びになられました!?)


私のことを覚えていた!?知っていた!?

そのことでもう、私の頭はパニックに陥る。


そんじゃな、立川・・・・立川・・・・・立川・・・立川・・・・

京くんボイスで永遠と頭の中を立川が、回る。

それだけでもう、立川日向は幸せです!!


「ちょっと日向、どこに向かってガッツポーズしてるの?」

「聞かないで秋ちゃん。私は今、幸福の絶頂にいるの」

「はい?」


こうして、立川日向の日常は過ぎていく。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆

放課後、京が下駄箱に向かうとそこに朝と同じくリリーがいた。


「お帰り」

「・・・・ただいま」

「?お前元気ないな」

「先ほど、私は世の中の不条理を理解しました」

「はい?」




一方日向はーーーーーーーーーーー


「今度は思い切って世間話でもしてみようかな?」


さまざまな妄想を胸に帰宅中である。


「にゃーお」

「ん?あっ、コロじゃない」


日向が家で飼っている猫、コロが家の塀に登っていた。


「どうしたの?迎えに来てくれたとか?」


そう声をかけながら、コロをなでる。すると、コロが何かを咥えていることに気づく。


「こ・・・・これは・・・・!?」





続く。








読んでくださりありがとうございました。

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