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第五話「恋に理由なんてナッシング!」

最近、夢見たことをノートに記録してたら、カオスなノートができました。

そんなこんなで第五話です!

前回までの妖精日和。

私、リリーはこの恋の荒んだ人間社会をどうにかするために現れた恋の妖精!

見知らぬ世界での生活が始まり、塀から落ちたりバイセコーに轢かれたり、突然の恋の成就の壁が可憐な私に容赦なく降り注いできてまぁ、大変。でも、私頑張る!いつも元気ハツラツに可愛さを武器に私・・・頑張るから!見ててね、おばぁちゃん!!

(リリーや、朝ご飯はまだかね~?)



「ふぅ、あらすじはこんなものかしら」

「色々と言いたいことが山積みなんだが・・・」

「そんなことはどうでもいいの!!さぁ、京くん学校に行かなくちゃ!」


前回のやり取りから一夜。

現在は朝を迎え、こっれから学校に向かおうとしている二人。

ため息をつきながら、京は制服のネクタイを絞めた。


「マジで来るのか?」

「当り前よ!私は京くんの恋を叶える妖精、恋のキューピットそのものなのよ!?」

「だが、突然恋愛しろと言われてもな・・・」

「大丈夫!京くんは並の上だから、一人くらいは京くんのことを好きな人はいるわよ!」

「・・・それは、喜んでいいのか・・・・」

「ええ、自信を持って!」


リリーは普通の人には見えないので、京の肩に座った状態でいる。

そのまま、京は鞄を手に一階に下りる。


「あら、京。もう行くの?」

「あぁ、そろそろ時間だし・・・行ってきます」


京は母に見送られて、家を出た。

そして、自転車を出して学校に向かうのだ。


「京くん、昨日京くんに好みを聞いてわかったことを整理してみたの。そこで、あなたのタイプを割り出したわ」

「何、勝手に割り出してんだ・・・・」

「京くんはとりあえず、男に興味がないことはわかったわ」

「分かったことそれが第一!?」

「それで、チャラチャラした人は嫌なのね、そして・・・・・胸はあったほうがいいのかしら?」

「・・・・・」


そこで自転車を止める。


「あのな、朝からなんでそんな話を・・・」

「やっぱりあったほうがいいのね!?あなたも所詮胸しか見てないのよ!胸のない女なんていらないっていうんでしょ!?」

「なんで、お前が怒るんだ!?」


しかし、その疑問はすぐに解消された。

「あぁ、気にしてんのね」

「き・・・・気にしてなんて無いわ。女は胸だけじゃないもの!」

「そんな必死に胸を押さえて言われてもな」


両手で胸を隠してブツブツ何かを言っているリリーを無視し、なんとも言えずに視線を前に戻した。


「ん?あれは・・・・」


彼の視線の先に、今まで見たことが無いものが現れたのだ。それは・・・一言で表すならそう、おじさんだ。小さなおじさんが道路を一列で歩いていた。

そこに、女子高生二人が現れる。


「でさー昨日のテレビ見た?」

「見た見た!ありえなくね?ちょーありえなくね?」

そんなたわいもない会話をつづけている二人は、気づくはずもなく小さなおじさんの列に近づいて行き、そして・・・・。


「あ」


京のそんな言葉と同時におじさんの列は女子高生二人に蹴られて飛んでった。

飛んだおじさんたちは、コンクリートの地面にぶつかりピクピクしている。しかし、なぜかその表情は幸せそうなので同情はしない。


「あぁ、小さいおじさんよ。あれは幸福を招くんだけど、ほとんど毎日女子高生に蹴られるの」

「毎日!?」

「それが、彼らの幸せなのよ」


「うんうん」と納得した様子でリリーは頷くが、こちらからすれば、可哀想を通り越して哀れ・・・いや、何も言わないでおこう。


「さぁ、京くん、今日から学校はあなたの勉強の場ではないわ。これからあなたは婚活ならぬ恋活をするのよ!!」

「だから、勝手に話をすすめるな!俺は納得してないぞ!」


その声は大きく、子供がこちらを見た。


「お母さん、あの人なんか言ってるー」

「こらっ、見ちゃいけません!」


そのまま親子は去っていく。


「もう!私の姿はほかの人には見えないのよ?だから周りから見たら京くんは危ない人ね」

「誰のせいですか?」

「そんな話は置いといて、早くしないと遅刻よ!」

「無視ですか」


こちらの話をまったく聞かないリリーに反論するのもつかれる。

あきらめて、さっさと学校に向かうことにした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ここが・・・・学校」


校門の前に辿り着き、リリーは茫然と学校を見上げた。


「そう、ここが南高校」


京が通う南高校は、東西南北に位置する学校の中で一番偏差値が高い学校でもある。つまり、それだけ勉学にも力を入れている学校でもあるのだ。


「さて、自転車を置きにいくか」


自転車を転がし、校門を抜けて駐輪場へ向かう。


「おはよう、京、大丈夫なのか?」

「おはよう榊。もう平気だよ」


声をかけてきたのは同じクラスの榊良平。京の友人の一人でもある。


「いやー、昨日はびっくりしたぜ。突然、あんなことを言うなんて」

「え?あぁ・・・・いや・・・・すまん」


「あんなこと」と言うのはもちろんリリーのことである。リリーが見えない友人にとっては、突然京が変なことを言いだしたようにしか思えなかったのだろう。そのせいで、熱があるとか騒がれて大変だった。

(それで本当に早退したんだよな)


「京?」

「いや、本当に大丈夫だ。悪かったな」

「まぁ、元気ならいいんだ。じゃあ後でな」


徒歩で学校に来ている榊は先に学校に入っていく。それを見送って、京も自転車を転がせた。


「60点ね」

「何が?」

「榊くんよ。顔は並、そこに爽やかな友人想いということでポイントを入れて60点」

「お前、人の友人に何点数入れてんだ・・・」

「因みに京くんは79点よ」

「どう採点したらそんな微妙な数字になるんだ!?」


1点の行方が気になる京だが、その言葉にリリーは、あざ笑うかのような顔でメモ帳を閉じた。


「わかってないわね、京くん。恋は常に競争なの。ライバルを理解することも必要よ」

「俺の話は無視か。・・・そもそもアイツがライバルになることはないだろう?」

「甘いわ!甘いわ京くん!恋は突然なの!最初は「お前の恋、応援するぜ・・・フッ!」なんて言っておいて、最後の最後に「実は俺もあいつのこと好きなんだ・・・恨みっこなしだぜ・・・フッ!」なんてことになるにきまってるわ!」

「いちいち「フッ!」っていう奴いるか?」


突っ込みどころが違う。


そんなこんなで自転車も置き、学校の下駄箱に辿り着いた一人と一匹?。


「そういえば、京くんは一年生なのね?」

「そう、1-B」

「了解したわ」


そう答えると、リリーは下駄箱の上に飛び降りた。


「リリー?」

「ここからは別行動よ。私はこれから京くんのタイプの女がいるかこの学校を捜索してくるわ」

「大丈夫か?また轢かれる予想しか立たないんだが・・・」

「大丈夫よ!私を誰だと思って?」

「自称恋の妖精」

「そう・・・・って自称はいらない!」

「でも、本当に平気か?」

「あら?私のこと心配?」


それに京は沈黙をするが、やがて口を開く。


「まぁ、これ以上ない心配だな」


あの強烈な出会いを思い出して、思わず京は笑う。


「・・・・・・・・・」

「どした?」

「いやいや・・・なんでもないです」

「なぜに敬語?」

「いや、本当に何でもないです」

「いや、なんで顔隠すんだ?」

「本当に何でもないの!京くんの馬鹿!!」

「はい!?」


そのままリリーは、走り去っていく。


「なんだありゃ」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


京から離れ、リリーは京がいない場所であることを確認した。


「ふぅ、ここまでくれば安心ね」


流れてもいない汗をぬぐってリリーは空を見上げた。


「あの笑顔は反則ね。思わずドキッとしちゃったわ」


恋は突然始まるものだと誰かが言ったが・・・・・。


「違うわ。これはいわゆる、思春期特有のもの・・・そう、そうよね!おばぁちゃん!?」





今日の格言。

恋の妖精は自分の恋には鈍感である。












読んでくださりありがとうございます。


まだ続きます!

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