第一話「突然ですが、リリーです!」
はじめまして。
初心者なので、色々と上手くはありませんが、読んでいただけたら幸いです。
青い空、立ち並ぶ高層ビル、忙しく動き回る人々。
政治が不安定の中、そうやって仕事に追われて恋愛が疎かになっていく。これが、今の人間社会というものなのね・・・フッ!
私?私の名前はリリー(胸に手を当てて)。この人間世界に恋を成就させるミッション。つまりは「ラブミッション!」を遂行すべく、妖精の世界・・通称「妖精の世界」からやってきた、キュートな恋の妖精よ!そして、その任務の舞台となるのが、この町というわけよ。
現在私がいるのは、あるお家の塀の上。まぁ、普通の人間には私の姿は見えないから気にすることなんてないの。私のキュートな姿を拝まさせてあげられないことは残念なんだけれど・・・。
「さてと」
(自己紹介も終わったし、そろそろミッションを遂行しようかしら?)
そんなことを考えながら、リリーは通学する学生を眺める。
この「ラブミッション!」は、先ほども言ったが人間の恋を叶えるものである。まぁ、正確には手助けである。
しかし、誰構わずに恋を成就させればいいというわけではない。
妖精には、それぞれ対象の人間がいて、その人間の恋を叶えなくてはいけないのだ。
「つまり・・私には私の対象の人間がいるわけよね!」
そういうことです・・・ってかナレーションに突っ込まないでいただきたい。
そんな言葉も無視してリリーは、高校生の姿を見ていた。
理由は簡単。この中に彼女の「対象の人間」がいるからである。
しかし・・・・・。
「おかしいわ。私の電波では、そろそろここの通学路を通るはずなのに・・・」
恋の妖精はそれぞれ、対象者を見つけるための電波があり、どこに対象者がいるか見つけることができます。
「私の電波はたとえその人が宇宙に行こうとも受信可能よ!」
指を立てて、誰かに向ってのウィンク。
わぁ!典型的なストーカーですね。
「でも、おかしいわね。さっきから来るのはわかっているのに、なかなか対象者が通らないわ」
腕を組んで学生を眺めるが、対象者らしい人物は現れてはいない。
「故障・・・?そんな馬鹿なっ!私の電波に限ってそんなことが・・・」
しばらく一人で考え込むと、何を思いついたのかリリーは突然「カッ!」と目を見開いた。
「私、飛び立つわ」
そうよ、電波があてにならないなら飛べばいいじゃない!
私にはこの羽があるわ。これでちゃちゃちゃっと対象者を見つければいいんだわ!
私ったらおっちょこちょいなんだから!ってなわけで・・・・。
「リリ-、飛びます!」
なぜそうなる。
背中についた羽を広げ、リリーは勢いよく塀を蹴った。
同時に思い出した。っというか思い出してしまった。
そう、私は―――――――――――――――――
「飛べないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
時すでに遅し。
リリーはそのまま落下していった。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
ちなみに続きます(笑)