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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

白狼がいてくれるから

作者: てんであすとらる

初の執筆です。拙い部分ばかりですがよろしくお願いします。

 気がつけば森の中。

 ここが何処で、自分が何者かがわからない。

 ただ、生きるための知識や座学などは残っているようで、現在自分が、所謂記憶喪失に陥っていることが予測出来た。

 「ここはどこ?私はだれ?というやつか」

 誰に向けた問い掛けなのか自分でもわからないが、典型的な謳い文句が自然と口から洩れ、このような状況にも関わらず思わず笑みが漏れる。どうやら自分は、なかなかの図太い神経の持ち主のようだ。

 ともあれ、ただ突っ立っていいるだけでこの状況がなんとかなるはずもないので、とりあえず近辺を探索してみることに。

・ 

 小一時間は歩き回っただろうか、近辺には、家は橋などの人工物などが皆無で、少し南に下った場所に川があるだけで、後は何処もかしこも木々が広がるばかり。

 「いったい、俺はどうやってこんなところに迷い込んだんだ」

 今の自分のおかれた状態に半ばあきれながら、いくつか自分なりに現状の考察してみる。

 ①前人未到の方向音痴説・・・極限にまで極まった方向音痴により、いつの間に未開の秘境に突入!フロンティア万歳!!

 ②異世界召喚説・・・世界を滅びに導く魔王を倒すため絶世の美少女姫に異世界に召喚された!目指せハーレムパーティー!!(ポロリもあるよ!)

 ③大企業陰謀説・・・某大企業の裏側を知ってしまった俺は、腐りきった社会の支配階級層を楽しませるための死のゲーム強制参加させられることに!死と隣り合わせのゲームから芽生える真の友情!!(BL注意)

 うん。ひとつわかったことがある。俺は所謂オタクだったんだな・・・。

 一つのどうでもいい真実にたどり着いた俺はとりあえず溜息を一つ。とりあえずどこか休める場所を探そうと歩きだそうとしたその時、

 俺はもう一つ気がついた。

 自分はここで死ぬと・・・。

 いったい何時からそこにいたのか、俺の目と鼻の先に美しい純白の毛を身に纏った巨大な狼が、これまた美しい蒼穹の目でこちらを見ていた。

 体長は優に3メートルはあり、その存在は一度目にすれば一生忘れられないほどの存在感を放っているのに、俺は白狼の存在に今の今まで気かつかなかった。

 狼と目と目が合った。それだけで意識が持っていかれそうになったが、俺はそれに耐えて一言。

 「お父さん、お母さん、美しい白狼に食べられて先立つ息子をお許しください」といるかもわからない両親にとりあえず許しをこう。義理深い自分がちょっと好きなった。

 軽いヒロイズムに酔いながら、最後は潔く喰われようと地面に仰向けになり「さぁ、抱いて!!」のポーズ?をとる俺を白狼はしばらくじっと見て、一言

「いや、喰わんし」

 そうですか。

・ 

 「わんわんお」

 「・・・」

 「う~ぉわん~わんお」

 「・・・」

 「?わんwa」

 「やはり喰うか」

 「やめてください」即座に土下座をしました。

 「いやね、ファーストコンタクトだし、まずは意思の疎通からと思いまして・・」と言い訳がましく言うと。

 「すでに、会話しているではないか」と理性に満ちた満点回答を言われてしまい、それもそうかと納得している俺はまだ混乱していたらしい。

 すこし時間を空けてもらい、多少冷静さを取り戻した俺は尋ねてみる。「君は、俺を食べないんだよね。というか食べたくないんだよね?」

 ほらあれだよ、こういう神々しい神獣・聖獣チックな動物は人間の味方で、きっと俺の力になってくれる存在なんだよ。きっとそうだよ!!そんな俺はきっと白狼にとって特別なry・・・キャンディry・・と一人で自己完結しかけたところからの・・・

 「正直、味は気になる」

この言葉ですよ。

 再び土下座しかける俺に狼は、

 「もういいって、言ってみただけだ。話が進まん。」

 本当はこいつからかい好きなのではと思いながら白狼の話に耳を傾けることに。

 曰く、この世界に人間は存在しないらしい。そんなこの世界で摩訶不思議生物の俺が彼/彼女の縄張りの森をずけずけと歩き回っていたので、脅かして追い出そう(この時点でからかい好きと断定)と目の前に現れたのにいつもでも気いてもらえず途方に暮れて、それでも寂しさを我慢して待って、やっと気づいてもらったので「さあ、脅かそう!」と意気込んでいたところでの、意味不明な一連の流れ。とりあえず話してみようということになったらしい。にしてもすばらしい毛並みだ・・・。

 「というわけなのだが・・・。おまえは私の話を聞いていたのか?」尻尾がユラユラ・・・。

 「モチロンデスヨ」お耳ピクピク・・・。

 「それでは今度は・・・」やばい最初は恐怖で気づかなかったが、なんて美(人)狼さんなんだ

雄か雌と超越してふ~つくし~ぃ。これは、やばい

 「おい、さっさと答e」白狼がなんかゆってるがもう我慢できん!!!

 「モフること前提でお付き合いください!!」一世一代の大告白。もうここで死んでもかまわんわんお!

 「・・・」

 結果

 ちょっと喰われた。

・ 

 白狼には名前がないらしいのでとりあえず白さんと呼ぶことにした。そしたら白さんは俺のことを黒と名付けてくれた(黒髪と黒目だからだそうです)。お礼にモフろうとしたらまたちょっとかじられたので、普通にお礼を言うだけに留まった。シクシク・・・(涙)。

 「白さんや、俺たちは何処に向かってるんだ?」とユラユラと揺れる極上の尻尾をガン見しながら後ろをついていく俺。尻尾ユラユラ・・・。

 「とりあえずは、黒を森から連れ出す。森を南に抜けて川を少したどると町がある。そこには様々な種の生物がいるから、お前のことに詳しいものがいるかもしれない。だからをお前は森を出てそこを目指せ。」綺麗な形のお耳ピクピク・・・。

 「白さんは?」と白さんの尻尾をガン見しながら事もなげに問うと。(そろそろ辛抱たまらんくなってきた。)

 「森の入り口までの案内だ。そこでおわk」

 「ぜっっったいにいやだ!!!。そして、俺とモフりの儀式をしてください。大丈夫!怖くないから!絶対に幸せにするから!」キリッ

 「・・・」

 うん。噛まれたよ。テンプレになりつつあるね。でもしょうがないだろ。ずっと一緒にいたいんだもの。

 今、気がついたのだが白さんは噛んだ後、その痕を必ずすまなそうに舐めてくれる。なんと白さんは、ツンデレぺロリスト白狼だった!!うん、萌えるね。

 何度かそのようなやり取りをしながら森を進んでゆく俺たち。多少の森の違和感が気になりながらも俺は至福の時間を過ごす。記憶を失っている俺だがこれだけは断言できよう。この白狼に出会うために俺は生まれてきたと。自分でも何を言っているのかと思わないでもないが、本気でそう思えるほど白さんとの時間はかけがえのないモノに思えた。

 だが時間とは残酷なものであっという間に森の入り口へたどり着いてしまった。

 「さぁ着いたぞ黒。ここでお別れだ」白さんは言う。

 「・・・。どうしても行かないと駄目かな?」白さんと一緒にいたい俺は強く思う。

 「ここにいても黒は自分が何者で、どこに帰るべきなのかわからないままだ。それはよくないことだと思う。もしかしたら誰か黒を待っているかもしれないんだよ」白さんがやさしく諭すように言う。

 だから、そんな優しい白さんに俺は言う。

 「だけど、俺がいなくなったら白さんは独りになってしまうだろ」絶対にそんなことさせたくないと。

 「・・・」

 「いままでこの森を歩き回ったけど、白さんみたいな知性をもった生き物に遇わなかった。最初は、白さんがそばにいたからだと思ったけど、俺が独りで探索し時も虫の子一匹出てこなかった。」俺は、続ける。

 「理由は、わからないけど。この森は白さん以外生き物はいないんじゃないか?」

 「・・・。それが黒に何の関係がある。さっさと出て行け」

 「嫌だ」俺は即座に言う。

 「今度は脅しではなく本当に喰うぞ」白さんが低く唸りながら殺気を込めて俺を睨む。

 あれだけの優しさを見せ、今更凄まれても思いながら俺は自分の気持ちを素直に口にする。

 「俺は白さんとずっと一緒にいたい」本当にただそれだけなんだ。

 「私は黒と・・・。お前なんかと一緒にいたくない」白さんは何かを我慢するように、絞り出すようにいった。その蒼穹の獣の目の端にいっぱいの涙を溜めながら。

 「お前みたいな訳のわからないものが私の縄張りにいるだけで虫唾が走る。私はこの森の主でこの世界の異端者だ。どのような存在も私の領域を侵せない。だから、今回も森の入口まで追い立てただけだ。ただそれだけだ。だからさっさと出て・・・」 

 もう十分だろう。これ以上白さんに言わせてはいけないよな。

 「白さん・・・。俺は、自分が何者で何処から来たのかさえわからない。白さんが言ったようにもしかしたらどこかで誰かが待っているかもしれない」

 「だけど、今の俺にとって白さんが、白さんこそが俺の一番なんだ。ずっと一緒にいたいと思える存在なんだ」一つ一つの言葉に気持ちを込めて口にする。

 「白さんがいてくれるから・・・。俺はこの世界に在ることができるんだ」

 「白さんもう一度聞くよ。俺と一緒にいてくれないか?」

 言うべきことはすべて言った。道中でも同じようなことは何度も言ってそのたびに喰われかけたが。今回は本当に喰われても構わないと覚悟し口にした。白さんと一緒にいたい。独りにしたくない。

 「本当にそれでいいのか」白さんが震える口で言う。

 「もちろん」

 もう一人と一匹を阻むものはない。ゆっくりお互いに距離を狭めてゆき・・・

 いざモフりの極みへ!!!!!俺が白さんとに思い切りモフろうとしたその瞬間、突然の白さん消失。

 あり?俺の白さん何処いった?と首を傾げているところに木の上から白さんの声が

 「黒が私といたいことは理解できた///。だが、私はお前が私と共にあるにふさわしい存在かまだわからない。だから黒、私と共にいたいのであれば、私とモ、モフり?たいのであれば私を捕まえてみろ」

 白さんは照れながらおっしゃる。

 「私と一緒にいたいのだろ」尻尾フリフリ・・・。お耳ピクピク・・・。おめめウルウル・・・。

 もう限界だ・・・。辛抱たまらん!モフモフしたい!!!!!

 「私を捕まえろ、黒」

 俺は空に向かいありったけ吠える。

 「わんわんお~~~~~~~~~~!!!!!」

 

 

 


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