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綺羅星ラブレター リライト 〜月明かりが照らす真っ白な便箋に込めた想いと、その先を君と〜  作者: 天使 かえで


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5通目 コーヒーの香りするあなたへ 前編

 私は今、とても緊張している。


 家の近所にある喫茶店。私好みのとても香り高いコーヒーを出してくれるお店。

 ふわふわのクッションが置かれた座り心地の良いソファに包まれるように腰掛け、ゆったりと落ち着けるジャズが流れているのを耳にしている。


 普段ならそれが私の癒しになってくれる。しかし、今日違う。


 テーブル下の籠に置いた私のカバンの中には1通の手紙が入っている。


 いつも私の話を聞いてくれて、優しい笑顔を返してくれる店員がいる。その彼に想いを伝えたい。そう思って手紙をしたためた。


 コーヒーを飲みながら本を読んでいるフリをして手紙を渡すタイミングばかり窺っている。そのせいで開いた本は読まれず、同じページから進むことはなかった。


 十数回と同じ文章に目をやった後、私は意を決してテーブルに置いてあった伝票を手に取り彼のいるレジに近づいた。

 伝票の下には想いを綴った手紙を添えて手渡した。


「き、き、金額はちょうどですよね? レ、レ、レ、レシートは大丈夫です」


「は、はい。 ありがとう…ございます…?」


 私は声を裏返らせ耳まで真っ赤にしたまま目も合わせられずぺこりと頭を下げて、そそくさと店の外に出た。


 店の外の空気はひんやりとしていた。


 何も言えずに手紙を渡した自分に不甲斐なさを感じたせいか、私は家に向かって全力で駆けていた。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 手元にはコーヒーセットの伝票とその代金の950円。そして、自分宛ての封筒が1通残されていた。


 彼女がこの店に来てくれるようになってそろそろ1年になるだろうか。

 初めて店に来たとき、カウンターに座った彼女は今にも折れてしまいそうに見えるくらい、とても疲れている様子だったのを覚えている。


 そんな彼女を見て浅煎りの優しい香り立つコーヒーを選んだ。そのコーヒーを一口飲んで、彼女の強張っていた表情が少しほぐれたように見えた。


 その表情でどこか自分も救われたように思えた。

 

 その後もコーヒーを気に入ってうちに通ってくれるようになってくれた。


 少しでも彼女を元気にしたい。そう思って彼女の好みのコーヒーを淹れていた。


 自分の淹れたコーヒーを好きになってくれた彼女を次第に意識するようになっていた。 


 あんなにも顔を真っ赤にして渡してくれた封筒を静かに開け、大事に中の手紙を読んでみる。


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