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やがて平和が訪れるまで  作者: 鶯遷 烏鷺
本部の裏側
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亀裂

〜宗輔が帰ってくる3時間前〜

「俺は囮なんてごめんだぜ。」

 隊員の1言が拠点に亀裂を生み出させる。こいつは

神原 結城、俺の友達だ。

「ぼ、僕も。」

(わたくし)もパス。」

「俺もだこれで5回目だぜ、誰かやってくれよ。」


蒲田、遠藤、劉霞も続いて声を上げる。蒲田は幼馴染で遠藤、劉霞も昔から、遊んでいた仲だ。

 というか部隊の隊員であるこの5人全てが知人なのだが……"何故知人ばかりを集めるか。"本部の思惑として友情がこの囮作戦の邪魔になると踏んだのだろう。事実こうして今、友情が壊れかけているのだから。

 しばらくの静寂が場を包む。腑が煮え繰り返るほどの憎悪も、死に直面するような状況では何の役にもたたないことを、僕らは知ってしまっているからだ。それも魔族相手と人間相手では恐怖心が天と地ほど違う。

 だからこそ、僕が行かなければならないのかもしれない。

「俺が行くよ……」

 その一言で、こいつらがどれだけ救われたか。それは言うまでもなく、そして安堵の一言では表せないほどだろう。


〜宗輔が帰還する2時間前〜

 そんな一幕があり今がある。俺は覚悟を決めて、この遮蔽物から飛び出した。後悔も何もかも今この瞬間では全てが吹っ飛び、恐怖が脳の根幹にへばりつくような気持ち悪さがある。

 ただ、そんな状況でも走り続けなきゃ行けない。そうでもしないと、ここにいる全員が死ぬ。

 人影に気づいたターゲットがこちらに近づいている。隊員たちの射程に入り、仕留めようとしたその時。

 ほんの一瞬の出来事であった。ターゲットの胴体、四肢、そして頭部に弾が命中。そして神原と劉霞の頭部にも、弾丸に似た何かが命中し、2人共々即死した。ターゲットが片手に持っていた銃には、煙が漂っている。

 神原と劉霞の死には、当然涙した。だがこんなところで停滞しているわけにも行かない。

 俺たちは魔族とターゲットの齟齬がないか確認し、去ろうとしたその時、魔族の銃から本部が製造したものにだけつけられる認証マークがつけられており、身分証からも探鳥の印が確認された。

 僕たちはすぐさまその"証拠品"を持ち去り、今に至る。これが裏切りの予兆であることは、云うまでもなかった。

 

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