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やがて平和が訪れるまで  作者: 鶯遷 烏鷺
本部の裏側
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思い出と現実の狭間で……

「お前も転生したのか!!」

 驚きと感動が同時に押し寄せ、僕の感覚を刺激する。作戦の有無関係なく、今は彼と感動を分かち合いたい。

「あぁ、お前が狙撃された後俺にも弾丸が当たってそのまま死んだ。」

「そうか……」

 こうやって人の死ぬ様を思い浮かべると、複雑な悲しみの感情が押し寄せ、まだ僕が人間なんだと思い知らされる。


「で、お前は何を企もうとしてたんだ?」

「あ、あぁ瀧川。その事でお前に頼みがある。」

 取り敢えず、僕は今知っている全てを話した。保守派と本部、両方が裏切ろうとしている事。今やろうとしている事。そして、それが二人なら可能だ、という事。

 事情を把握した瀧川は、<俺に任せとけ>と言いたげな顔で本部へと連絡を取る。

 こう云った緊急時の対応は、電子機器での電絡で済ませればいいと決めた。当時の総長に感謝である。


 捕虜となり、奴隷に成り下がった人々は、大きく二つに分類される。

 一つは、日本がまだ存続していた頃。魔族との戦いの最中捕虜として捕まり、洗脳され有ろう事か魔族に忠義を誓う者。

 二つは、洗脳が効かず制御が困難と魔族に判断され、監視がある中日々労働を強いられる者。


 前者について詳しく云えば、前者と後者の扱いは目に見える程明らかで、とても残酷であった。だからこそ忠義を誓い、地獄から抜け出そうとする者が前者になる。

 側から見れば、洗脳ではない。人に選ぶ余地がある。そう思い込ませるこのやり方が、人の思考を壊すには充分な程、戦場は地獄その物であった。


「俺たちも、昔までここにいたんだな。」

「あぁ、苦く長い思い出だ。」

 暗殺の対象(ターゲット)が発見されたのは此処、日本語で<冠山収容場>と呼ばれる奴隷の溜まり場だ。


 冠山というの由来は、戦いの最中、人間が兵士の印である武器と軍用の衣類を山に捨て、民間人になりすまし、逃げ去った。

 という事から人間と魔族の力の差を民衆に思い知らせる慣用句として生まれた物らしい。



「いつまでも此処は…….酷い街だ。」

 10年前までは平和な日々を過ごし、そして恋人まで作った僕の雄大なる思い出。それが魔族に侵されたと思うと、怒りを通り越した悲しみで溢れかえる。

 

 僕が此処に来た理由は、依頼の魔族を討ち取る事と恋人を誘拐した、全魔族の復讐の為である。

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