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やがて平和が訪れるまで  作者: 鶯遷 烏鷺
本部の裏側
13/16

違和感と共犯

「あそこの角を曲がれば閣議室に着くぞ。」

 真っ暗闇に包まれた通気口内部。僕たちの前にいる案内役の瑛太が、そう呟く。


 ここに来る合間に設計図を一通り見てみたが、通気口には人1人しか入れず、かろうじて見ることができる閣議室に繋がる覗き穴は限られている。

 東西に一つずつ、天井に網戸が張られた物が二つ、そしてそのどれもが人の目と同じ大きさの穴が空いている程度なものだった。

 そのため、各覗き穴に繋がる通路からは僕が東、瀧川が西、瑛太が天井という布陣で別れる。


 5分後には其々の位置に着いた。が、いつもの通り気付かれていない今からターゲットを即暗殺、という様にもいかない。充分な情報の確保も、任務の一環だからだ。というかターゲットにする魔族が誰かすら、今では判断が出来そうにない。暫くは様子見をするしかなさそうだ。

 

 魔族同士の会議は、言葉が分からずとも伝わるような対立が見えた。恐らくだが、人間と言っている気がする。暗殺をすればするほど出てくるその語彙には、唯一反応できた。

 本部の襲撃に伴ったデモを見てきたから、僕には今までの言動に違和感を感じなかった。

 

 ただ、僕は気づいてしまったのだ。"何故言葉も分からないのに本部銃撃のデマだと分かったのか“

 至極当然な矛盾、そして疑問が過ぎる。確かに僕は本部のデマだとその瞬間だけ分かったのだ。 



今の僕に、一体何が起こっている?



 そう疑問を抱いた瞬間、天井から銃声が聞こえた。会議をしていた一人の魔族の銃から硝煙が吹き出ていた。撃たれた鉛玉は僕たちが選ばなかった覗き穴に突き刺さり、誰もいないはずのその天井からは、血が流れ落ちる。

 そして、その光景を見た重役共は予想していたが如く、また何気なく会議を始める。

 予測も出来なかったこの出来事を、僕達はまだ受け入れられずにいた。


一暗殺者、ここに死す。






 


 

 

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