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やがて平和が訪れるまで  作者: 鶯遷 烏鷺
本部の裏側
10/16

演説の裏側

pm8:32


「誰だ?」

 狭く薄暗い通路の中で、魔族は望遠鏡を片手にエントランスを観察する。宗輔の存在に気付いたのか、冷や汗が服に滲み出るほど緊張しているのが薄らと感じ取れた。

 "俺は敵じゃない"

 銃口を向けられた魔族は武器を手放し、手話でそう語りかけてきた。敵の投降なんぞ承諾する義理はない。だがそれはあくまで通常時の話。何の理由も無し魔族がここにいる筈がない。この魔族を言いくるめさえすれば頼もしい味方が増える絶好のチャンス。

"敵じゃないのならこっちに来い、話をしょうじゃないか"

 一か八かの交渉、その緊張感にかられながら、両者共に、今来た道を戻り、地下道を目指すのであった。


瀧川

pm8:33

3階、レストランエリア

 上へ繋がる配管を登り、ここに来て始めて電気の光を目の当たりにする。レストランは夜でも賑わっているようで笑い声や雑音が登っている最中、留まりを知らず響いていた。

 交流の中心となるレストランでの魔族の心境は様々で、裏で暗躍しようとする者、始めての交流で緊張している者、そしてこれを機に仲直りする者。

 政治家なことも相まって、表だって言えない情報が幾らでも交差している。

 そして、その数多な情報の渦から吐き出されるように他の部屋へと出て行く政治家の思考には、ある2つ心境が見られた。

 それが本部奇襲の大敗、そして反政府ゲリラの過激化についてである。

 "魔族間情勢を把握する為にも"と魔族を尾行していたその時。通気口の横に連なる別の配管が見えた。

 レストランとは正反対、品性のかけらもないような汚れが配管のあたり一面に広がり、牢屋として使われているのか錆を帯びた鉄格子のような柵と布の半分にカビの生えたようなベットが通気口越しに見えた。

 そして、その牢屋に繋がる通気口の先には、6畳か7畳程の部屋というより空洞に近いような空間に繋がっていた。

 そこには壁に薄らだがこの建物の全体図が描かれ、正面にでかでかと昨日の8月7日に決行日と記されている。

 (もしかしたらこの配管もここの囚人が意図的に作ったのかもしれない。)

 そう思い至り、俺はこの空洞をしばらく調査することにした。

 

 

 

 

 

 




 




 

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