月とドラゴン、だけじゃないよ♪♪
月が、ドラゴンに言いました。
「わたしがいないと、夜は真っ暗になってしまって、みんなこまるんだから。
さあ、見ててごらんなさいよ。」
月がかくれてしまったので、世界中は真っ暗になってしまいました。
おこったドラゴンは言いました。
「まったく、かまわないさ!
ボクは炎で明るくすることができるんだからね!
ほら!」
ドラゴンは口から炎を吐いて、そこらじゅうが火の海になりました。
たしかに明るくなりましたが、炎のせいで海まで熱くなってしまいました。
おこった人魚が言いました。
「炎なんて、あたしの水でいくらでも消せるのよ!
世界中を水びたしにしてやるわ!
ドラゴンの思いどおりになんか、させやしないわ!」
人魚が水をせいだいにまいたせいで、世界中はビショビショになってしまいました。
おこった木の精が言いました。
「こんなにビショビショだと、小さな木の芽が流されてしまうじゃないか!
そんな勝手はさせないぞ!
新しい木がはえてこないのなら、大きな木をもっと大きくするまでさ!」
もともと大きかった木がさらにぐんぐんと大きくなり、根っこは土の中で、どんどんのびていきました。
おこった金の精は言いました。
「こんなに根っこがのびてきたら、わたくしは金が掘り出せませんよ!
もう誰にも、指輪も首かざりも作ってあげませんよ!
たったの一つもですからね!」
おこった土の精は言いました。
「おまえたちばっかりに、そんなべらぼうなことはさせねぇぞ!
オイラだって、すげぇってところを見せてやらぁ!」
土の精は、あちらこちらに大きなおおきな穴をボコン、ボコンとつくりはじめました。
みんなのようすを見ていたおひさまは言いました。
「このままでは世界中が、こまったことになってしまうよ。
夜がまっくらで、
炎が燃えて、
水でビショビショで、
木がにょきにょきのびて、
金が取れなくて、
穴ぼこだらけになってしまう。」
おひさまは、月に聞きました。
「月は、どうしてかくれたりしたんだい?
月がいてくれないと、夜はまっくらで、みんなこまってしまうよ。」
かくれていた月はすがたをあらわし、
プンプンおこって言いました。
「だってドラゴンが吐いた炎で、わたしを焼くと言ったのです。
炎で焼かれるなんて、とてもがまんできません。
だから、かくれたんです。」
おひさまは、ドラゴンに聞きました。
「どうして月を焼こうとしたんだい?」
ドラゴンは、もじもじしながら言いました。
「ボクは、ボクはそのう、
ときどきすこし、さびしくなるんです。
だから月と、話をしてみたかったんです。
だけど、どうしていいかわからなくて。
そしたら風が、ボクにささやいたんです。
『あなたは炎を吐くのがたいへんにおじょうずですから、月のやつを炎で焼くぞとおどしてやればいいのです。
そしたら月のやつはこわがって、あなたのともだちになるでしょう。』と、風がささやいたのです。」
ドラゴンは、ぽろりと涙をこぼしていいました。
「月さん、ごめんなさい。
ほんとは月さんと、話してみたかったんだ。」
月は、びっくりして言いました。
「わたしも!
わたしも誰かとお話をしたくなる時があるわ!
わたしたち、同じね!
わたしたち、もしかしたら、とても良いおともだちになれるのではないかしら!」
人魚は水を吐き出すのをやめて言いました。
「おともだちですって!
なんてすてき!
あたしは、たった一人でいいから、
おともだちがほしいと、ずっと思っていたの!
おさかなたちは遊んでくれるけれども、
お話はできないんですもの!」
木の精は言いました。
「たしかに!たしかに!
木はいつだって、かわいいヤツらさ!
だけどたまには、ともだちをたずねてみたいもんだ!
ワシには、たずねるともだちがいなくてね!」
金の精は、うれしそうに言いました。
「もしもわたくしにおともだちができたら、とびっきり上等な指輪をプレゼントいたしますよ!
上等でとびっきりの指輪をですよ!」
土の精は穴を作るのをやめて、あわてたようすで言いました。
「そのおともだちっていうすてきなものに、オイラも入れてもらえるかい?」
月も、ドラゴンも、人魚も、木の精も、金の精も言いました。
「もちろん!
もちろん大歓迎!」
おひさまはニコニコしていいました。
「さあさあ、みんなで仲直り。」
夜が来ました。
月はみんなのために、夜を明るく照らしました。
ドラゴンはビショビショになったところをかわかすために、あたたかい炎を吐きました。
人魚はみんなのために、美しい歌を歌いました。
木の精は小さな芽をはやして、大きな山にする仕事をしました。
金の精は金を使って、指輪や首飾りをたくさん作りました。
土の精はえいようたっぷりの土を作って、いろいろな作物を作りました。
おひさまは、みんなに言いました。
「みんなが仲良しになったのを記念して、それぞれが主役になる日を決めよう。」
みんなはいままでずっと一人だったので、主役になれると聞いて、大喜びをしました。
だってひとりぼっちだと、主役にはなれませんからね。
おひさまは、いいました。
「月は月曜日、
ドラゴンは火曜日、
人魚は水曜日、
木の精は木曜日、
金の精は金曜日、
土の精は土曜日、
そしてわたしは日曜日だ。」
おひさまは風にも聞きました。
「どうだい、風くん。
君も仲間にならないかい。
風曜日というのは、どうだろう?」
風は、ひゅるりひゅるりと吹きながら、こたえました。
「あっしは仲間になんか、なりたくないね。
あっしは、一人が大好きなんだ。
いつでも自由、気ままに吹くのが好きさ。」
こういうわけで、一週間は7日間になりましたとさ。
めでたし、めでたし。
ひゅるりら、ひゅるり。
https://35855.mitemin.net/i779033/
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Thank you so much! writen by 幻邏さん