1-2-2-9 経験
「スピカって、本当にすごいよな。面倒なことに巻き込まれても、いつも通りにやってのける」
独り言を言いながら、俺は焚き火の炎を眺めた。
だんだん疲れて眠くなった時、スピカが小さな声で呼んだ。
「コフィ、寒いから来て」
「うん、分かった」
俺は、ドキドキしながら、アルミの寝袋に潜り込んだ。スピカと肌が触れ、少し緊張したけど、すぐに温かさが伝わってきて、心地よい感じがした。
夜空には満天の星が散らばる。広大な宇宙の片隅の小さなこの星を宇宙から見たらどんな風だろう。
自分など、バクテリアや菌と大して変わらないくらいの大きさでしかないことを夜空を見ていると感じる。
そうだ、小さな生き物は、生きることに必死になっていればいいんだ。意味や意義など、後からつければいい。
がむしゃらに一生懸命に生きても、泡が出来て弾けるまでの時間ように、宇宙の時間からすれば一瞬でしかないんだ。
「暖かいね。スピカがいるからこそ、今日みたいな日があるんだよな。
魚を釣って、焚き火で焼いて、一緒に食べる。こうやって生きていけばいい、そう思えたよ。
自分の人生は、自分で一つずつ決めていけばいいんだ」
「私もよ。巨人の通過儀礼、死ぬ人もいるんだって。ずっと怖いの。
アスタロトが村を焼いてから5日、色々なことがあったよね。守られた場所から出て冒険をして、そもそもいつでも命って危ないって気づいたの。
生きてることは、当たり前じゃない。だから、今を生きていることを正解にすればいいんだ。
だから今日のこと、一生忘れないと思う。これからも、一緒に色々な事を経験したいな」
俺たちは、アルミの寝袋に身を寄せた。静かな夜、ただ焚き火のパチパチと爆ぜる小さな音だけが響いていた。
「スピカ、寝るよ」
「うん、おやすみ、コフィ」
そして、俺たちは、眠りについた。
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