1-1-1-6 圧倒
パバリ師匠が長剣で容赦なく攻め、俺は、ギリギリで避けるのが精一杯だ。
「どうした?避けるだけでは勝てないぞ。それにグインからも、どうして逃げてばかりいたのじゃ?」
パバリ師匠が斬撃を緩めずに言った。
俺は、右に左に避けたり、身をかがめて、なんとか剣を避けながら、答える。
「力を無闇に使わないと教えたのは、師匠ですよ。力を使うなと言うのに、なぜ剣の技を教えるのですか?」
パバリ師匠がニヤニヤしながら、急所をしっかり狙って、俺を圧倒する。重力魔法と剣の完成者といわれているだけあって、鋭く無駄のない剣技だ。
俺は、短剣でなんとか凌ぐが、長剣相手に不利だ。こんな勝ち目がない状況でどうしたらいいんだ。少しでも動きが鈍れば、すぐに仕留められてしまう。頭も痛いし、もう限界が近い。
「フォッフォ!力には責任が伴うこと、力では真の勝利はないと教えるためじゃ!1万年鍛えたこの剣技、しかと味わえ!」
パバリ師匠は、一層、剣の速度を上げて、満足げに答えた。
俺は、体力の限界を悟った。感覚だけを頼り無我夢中でクルクルと避ける。あと、二、三回の剣の応酬で仕留められるのが、研ぎ澄まされた感覚の中でわかる。
しかし、完敗の中でたった一つのチャンスをキラリと見出した。
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