1-2-1-7 身代
「そうだったんだ、ユモ。ごめん。知らなくて」
ユモが小さくつぶやいた。
「大丈夫。ごめんなさい。私が先に聞いてしまったのに。
でも、寂しいの分かるよ。みんなが親切で私の居場所を作ってくれているのが、辛いの。ありがたいのに、悲しくて、苦しくなる。甘えて依存しているくせに、施しを素直に受け取り続けるのを躊躇う自分が恩知らずに思えて、弱くてずるい自分が嫌になる」
俺は、思わず、ユモの震える細い肩を抱きしめた。豊かな胸がプルプルと震えて、ユモの露出した肌に触れると、ひんやりと心地いい。
「俺も、そうだよ。同じことをずっと思ってた。
それに、母さんの歌ってくれた童歌やなぞなぞ、色々な記憶を思い出すと辛いんだ。だから、忘れてしまいたいのに、忘れようとするたびに記憶に刻まれてしまう。
俺ね、思ったんだ。忘れたいんじゃなくて、覚えておきたいんだって。思い出すのが辛いんじゃなくて、思い出すたびに少しずつ鮮やかさがなくなっていくのが辛かったんだ」
ユモが俺にしがみついて、静かに泣き始めた。どうにも泣き止まない涙を必死に押し止めようとしていた。涙がユモの胸の谷間に伝わって落ちていく。
「私も、そうだよ....」
俺も泣きたかった。
ただただ悲しくて、ただただ辛くて、誰にもその想いを伝えられなかった。ただただ悲しくて、慰めてほしいわけでもなく。ユモのように思い切り泣いてしまえば、少しは楽になるだろうか。
俺の流したい涙は、ユモが身代わりに流してくれているような気がした。
ユモが涙をまだ流しながら、まるで涙が止まっているように凛として言った。
「ありがとう、コフィ。少しは楽になったわ。もう大丈夫よ」
俺は、そのお天気雨のような笑顔をすごく綺麗だと思った。
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