1-1-3-9 短剣
上映会が終わり、リオ兄が部屋の灯りをつけた。
俺は、リオ兄と向き合う。
「リオ兄、俺...」
リオ兄は、もうとっくに覚悟を決めていた。そして、大袈裟な動きで、テーブルの上に鍵と見慣れない短剣と鞘を置いた。
「行け、コフィ。
これは、館の鍵とお前の短剣だ。
お前の母さん、しょうこ様が、いつかお前に渡してほしいといって、僕に託していたんだ。
鞘は、お前の父さんが悪魔だった時に生やしていた角を加工したものだよ。
特別な切れ味はないけど、決して刃こぼれしない短剣だ。しょうこ様の館と同じ強度で作られている。これはお前の責任だ。人を助け、守るために使うんだよ」
俺は、リオ兄の目を真っ直ぐに見て決意を伝える。
「リオ兄、さっきはごめんよ。リオ兄の気持ちもわかっているはずなのに。俺は、決めたよ。もっと強くなる。アスタロトが母さんの力を悪用するのを止める。そのためには、旅に出て、自分を知る必要があるんだ」
「わかってるよ。コフィ。困ったらすぐに帰っておいで。僕は、いつでもコフィの味方だよ。スピカをちゃんと守れよ」
俺は、リオ兄から受け取った短剣を見つめて、その重みを確かめるように握りしめた。
スピカは、もう両親に全てを話していた。
バオウおじさんがスピカを励ました。サラおばさんが隣で笑っている。
「スピカ。ヨジェ村までの道のりも、巨人の通過儀礼も命を失う危険がある。
親が代わってあげたい気持ちになるけど、これは親にとっても子供を信頼するための通過儀礼でもあるんだ。
弱いままでは生きられない、厳しい世界だ。
スピカを信じるよ。しっかり生きるんだよ。サラは、スピカなら大丈夫だって。女は、強いな。スピカも自分を信じて。きっと赤い眼が助けてくれるよ」
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