1-1-3-8 映像
夜、スピカの家族とパバリ師匠までやってきて、上映会になった。
映像は、天気のいい湖の景色からはじまった。撮影者は、父さんらしい。
画面を見つめる俺の心臓が、激しく鼓動を打ち始めた。
不思議な黒い水晶のような物体が宙に浮いている。たしか、これは異次元のAI、トトだ。
緑の土手の上を5歳くらいの俺とスピカが花冠を頭に乗せて、はしゃぎながら走り回っている。
そこに、リオ兄とサラおばさんがランチを持ってやってきた。
俺とスピカは、リオ兄の両肩に座りながら、泥団子を投げ合っていた。リオ兄も泥だらけだ。
そして、俺とスピカがアップルパイに飛びつく。
「やったー!!わー!ママのアップルパイ!いい匂い!あたしが先よ!」
「おれが先だ!!」
そのあと映る母さんの姿を、俺は、瞬きしないで見つめた。涙が頬を伝って落ちていく。
「あぁ!手がすごく汚い。自分でふきなさいよ!それに、ケーキは、ご飯を食べてから!」
その声に胸が締め付けられる。俺は、椅子を倒すほど飛び上がって、映像に手を伸ばす。
「母さん!!」
俺は、思わず声に出して赤面してしまう。でも、誰もそれを笑わなかった。
俺は、この映像を見て、改めて決心した。母さんと父さんのことをもっと知りたい。昔住んでいた館に行って、映像に映っていた異次元のAIトトにも話を聞きたい。
何よりもアスタロトが母さんの力を悪用するのが許せない。
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