1-1-3-1 混乱
俺は、泣きながら瓦礫になった町を走る。すれ違う人々の顔が心配と混乱でいっぱいだった。
見慣れた風景は、すべて壊された。悲しさが込み上げてくる。スピカの家のあった場所を通りがった。
そこにいたスピカのお母さん、サラおばさんが俺を呼び止めた。サラおばさんが心配そうに俺の泣き腫らした顔を見つめていた。
「コフィ、大丈夫だった? コフィが悪魔を惹きつけていたおかげで、全員を逃せたってリオが言っていたよ。ありがとう。
辛いことがあったら、いつでも私を頼ってね。私だって、あなたの親の代わりの一人のつもりよ」
違う、違う!そんなんじゃない。
俺は、ただアスタロトに魅惑されていただけだ。俺は、気持ちよくて、幸せな気分にさえなっていたんだ。
「違うんだよ、サラおばさん。俺は、全然駄目で、なんにも役に立たなくて」
俺は、途切れ途切れに呟いた。
駄目だ、また涙が止まらない。
サラおばさんが優しく俺を抱きしめる。俺が辛い時、サラおばさんは、いつもそうやって俺の頭を優しく撫でてくれる。
「そんなことないわ。コフィのおかげでスピカだって助かったんだもの。あら、額に小さな角が出てきたのね。かっこいいじゃない」
俺は、とっさに角を爪の尖った両手で隠して、サラおばさんから離れた。
「み、見ないで!」
また逃げるように走り出す。俺は、何から逃げているんだろう。自分の現実から? 自分自身から?
後ろからサラおばさんの声が響く。
「コフィ!コフィ!あなたは、1人じゃないのよ!そのことを忘れないで!」
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