1-1-2-8 逃避
「何言ってんだよ、リオ兄!弱さだなんて!リオ兄は、強いんだろ?だってアスタロトを追い払ったんだろ?また何度でもアスタロトを追い払ってよ。リオ兄が弱音を吐くなよ!母さんは神で、父さんは悪魔なんだろ?わけわかんないよ!じゃあ、俺は、なんなんだよ!」
リオ兄が深く息を吸って、俺の言葉に答えた。
「僕は、コフィ、お前を育ててきた。大切に、大切にしてきたんだ。自分の命と同じ、いや、それ以上に。ずっと、お前を守ってやりたかった。守ると決めていた。
でも、守るだけなのは、マチガイだった。いつまでも子供ように危険を取り除くだけではダメなんだ。
お前がアスタロトの誘惑に立ち向かう方法があるのかどうか、僕にもわからない。
それでも、お前は、自分の身体を使って世界と自分を知る必要がある」
俺の目から勝手に涙がこぼれて止まらない。
「いやだよ、リオ兄。これからもずっと守ってよ。また、アスタロトが目の前にやってきて、自分が自分でなくなるのが怖いんだ。
リオ兄が守ってくれるなら、もう何も知らなくていい。俺は、全然強くなんかないよ。そんな悲しい目で見ないで。いつものように最強のリオ兄でいてよ!これからも俺を叱ってよ。俺は、リオ兄から全部を知りたいんだ!リオ兄まで俺から離れて行かないで!
俺には、もうリオ兄しかいないのに!もう、リオ兄しか...」
リオ兄の目からも涙が溢れている。
「コフィ、僕だってそうしたいさ。でも、それでは駄目なんだよ....」
俺は、その場にいるのが我慢できずに、リオ兄の前から泣きながら逃げ出した。
後ろからスピカの声がする。
「コフィ!コフィ!一人で抱えこまないで!」
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