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1-1-2-6 崇拝

 それからアスタロトが邪悪さを隠さずに低い声でザイドに命令した。


「ザイド、用がすんだわ。城に戻るわよ。ザイドには、コフィを立派な悪魔に育ててもらうわ。悪魔になったコフィをあたしの前に連れてきなさい。そうしたら、使いきれない富をあげる」


 ザイドが一瞬で姿を現す。


「御意でございます」


 アスタロトがコロコロと笑いながら、俺の手からすり抜けていく。アスタロトが笑顔のまま手をかざすと、手から黒い立方体が出てきて、クルクルと回った。


「神の力の試し打ち、ここでも一発しておくわ。あたしを見捨て、海底に一万年放置して忘れた人類など、絶滅させてやる」


 マツモト村の地面に深い地割れが縦横に無数に走り、黒い衝撃波で建物は一瞬にして全て瓦礫に変わった。

 つまらなそうに村の残骸を見てから、アスタロトが俺の耳元で生温かく囁いた。


「待ってるわね、コフィ。あたしは、もうあなたのもの。あなたと作る子供は可愛いはずよ。

 あたしはね、見たいの。魔石バリアを失って逃げ惑う人類が、恩知らずに神を呪うのを。

 そして、人類最後の一人が悪魔を崇拝しながら絶望の中で苦しみ死ぬのを。一緒に暗黒の世界を作りましょう」


 アスタロトが楽しそうに笑いながら、俺に背を向けた。形のいいお尻からくねくねとした悪魔の尻尾が伸びている。

 そして、また黒い立方体をクルクル回すと、城と共に姿を消えてしまった。俺を置いて。


「行かないで、アスタロト。もっと一瞬に、いたいんだ」


 俺は、屋根のない天守閣にふわふわと着地をして、泣きながら眠ったらしい。そして、可愛いアスタロトの豊かな胸に溺れる甘い夢を見た。

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