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1-1-2-3 魅惑

「うふふ。押さえ込まれていた悪魔の性質が覚醒したわね。この角はね、あなたの父さんと同じ匂い。懐かしいわ。この匂いを嗅ぐと、身も心もじっとりと濡れてしまう。

 そして、コフィ、あなたの本当の姿が悪魔だっていう証の角よ。ふふ、おめでとう。ちゃんと育てて、立派な悪魔になるのよ。安心して、あなたがその気になればすぐだから」


 アスタロトがにっこり甘く微笑んで、角をベロリと舐めた。

 俺は、アスタロトの魅惑に抗うことさえできない。抵抗するどころか、好かれたくて、言葉を選ぶ。アスタロトの爪が触れた首筋に、心地よいくすぐったさが広がっていく。アスタロトの爪が俺の肌の上を優しく走って、ゾクゾクする。俺は、しだいに心を許して、アスタロトを求めてしまう。


「うん...だからもっと...」


 その時、スピカが怒りに身を震わせながら雷鳴のように絶叫した。


「私のコフィに触らないで!!!」


 余裕の笑みを浮かべて、アスタロトがスピカを嘲笑う。


「あら、彼女がいたのかしら。うふふ、略奪愛なんて、更にいいわ。人の不幸は蜜の味。悪魔には、背徳がご馳走よ。

 身体も力も貧弱なお嬢ちゃん、生かしておいてあげる。せいぜいコフィが悪魔になるための、養分になりなさい。ふふふ」


 リオ兄が遠くから俺の名前を呼んでいる気がする。

 でも、俺は、アスタロトの甘い香りにクラクラして、その声をすごく遠く感じる。

このお話も読んで頂き、ありがとうございます!


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