1-3-5-2 宇宙
水柱が爆発的な勢いで空へと伸びていく。
その中には巨大な水龍、ナミの姿が見えた。ナミがこんなに大きく!
スピカも一緒に水柱で打ち上げられている。
「ナミちゃん!立派になったね!ありがとう、腕も治ってる!それに...」
「コフィ、スピカ、会えてよかった。スピカの写真のこと、私ちゃんと黙ってたよ。気が利くでしょ?クフフフ。
腕を治すついでに、スピカの身体にかかっていた制限を解放しておいたよ。身体は人のままで、巨人の力を使いこなしてね。
スピカには、巨人とも人間とも、魔物とも全く違う血が混じってる。むしろ、それは私の血のほうが近い。たぶん、地球の外の血が。スピカの赤い目は、その血が色濃く出ているからなのかも。スピカの身体には確かに地球外の要素が入っているわ。
あと、グインももう大丈夫。火の鳥と完全に融合できたみたい。
あぁ、力を一気に使いすぎたわ。私は、このあと少し長く眠るわね。寂しくないよ。私は、水そのもの」
「ナミちゃん?寝ちゃうの?やっと会えたのに!!」
水柱がどんどん伸びて、ついには雲を越え、どこまでも伸びていく。地上と宇宙を繋ぐ、細い橋。青い地球が丸く見える。
スピカが感動している。それにしても、まさかスピカも異星人の血が流れていたなんて。
「地球って、丸いんだ。青くて綺麗。宇宙が近い。星ってこんなにたくさんあるんだ。私ってなんて小さいんだろう。
私に異星人の血が!?赤い目の巨人は、地球の外から来たのかしら…
なぜかしら、無限なくらい力が湧き起こっているのを感じる...これなら重力パンチ、何百発も打てそう!」
そのままナミと一緒に高く昇った。
宇宙に空気はないけど、水の中なら俺たちは平気だ。
俺たちは、ナミの胸ヒレをつかんで、水柱の中で輪になって踊った。
ナミが俺たちに微笑みながら言った。
「一緒に見れてよかった。この星は、水の星。私は、いつでも近くにいる。他の星が水を求めて、私を呼んでるわ。どんな星かしら、楽しみだわ。
私が生まれた星にも行ってみたい。
コフィ、あなたが育ててくれたから、あなたと一緒に遠い宇宙までいける。あなたも自分の可能性の大きさに気づくのよ。クフフフ」
その圧倒的な水の力の前に、氷の蛇が宇宙空間に吹き飛ばされていった。
それからナミが水の中に消えていった。水の流れが止まって、地上の重力を思い出したかのように落ち始める。
俺とスピカは、地上に向けて落下する水柱の中でナミを探した。どこにも見つからない。俺たちは、落下する水柱と一緒に落ちていく。
濡れた砂の上に着地して、青空を見上げた。
空から大量の水がリノスの村に降り注ぎ始めた。そして、強い日差しの下、くっきりと美しい虹を作った。
水の勢いは凄まじく、競技場はあっという間に水に飲み込まれ、跡形もなくなった。
闘技場の跡地から水が沸き続けている。人間の身体に戻ったグインが倒れていた。顔色が良くなっていたから、きっと大丈夫だろう。あとは、ゴルバドのボロボロになった剣を一本だけ見つけた。
でも、やっぱりどこを探してもナミがいない。
「ナミ!本当に、どこで眠りについたんだ?」
「ナミちゃん!どこー?本当にしばらく会えないの?」
そして、村の外れには、湖ができていた。
俺とスピカは、ナミとのひとときの別れを惜しんで、リノス村で覚えた歌を、湖の底で歌って踊った。
「君が去ってから
声は、風に散りさった。悲しみが枯れた木を濡らせ
どうして君と踊れないの
涙は、海を目指し、地を這い、闇に沈むよ
君が戻ってから
声は、流れる小川。喜びが梢のつむじ風
どうしても君と踊るの
涙は、海にたどりつき、雲になり、空にあがるよ」
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