7話
「ごきげんよう、調子はどう?」
「シャルローゼ様!おかげさまで、店内もこの通り賑わっております。」
援助を始めてから2ヶ月が経った。
今週は援助をした店の様子を見に行く週なの。
今日はリエルフィー…ケーキ屋の日。リエルフィーって言う店名なの。
ケーキ屋は元々従業員がいなかったけど、今は従業員が5人いる。
この店の敷地が結構広かったから、私は改装して飲食スペースを併設することを勧めた。
「軌道に乗っているわね。この調子で頑張ってちょうだい。あ、マカロンと“天使のカスタードプリン”をそれぞれ30個ずつ包んで公爵邸に送って欲しいわ。」
天使のカスタードプリンって言うのはこの店の目玉商品。
元々カスタードプリンって言う名称で売られていた物だけど、すっごく美味しかったのよね。
商品名とパッケージを変えたらどうかと提案したら、天使のカスタードプリンって言う名前になってこの店の目玉商品になっていた。
使用人のみんなに差し入れとしてマカロンとプリンを買った後店を出た。
公爵邸に帰ると、メイドからお客様が来ていると言われた。
「お客様?今日は誰か来るって言ってたかしら?」
「ジュリアス夫人がいらっしゃいます。」
ジュリアス夫人?どうしたんだろう。
とりあえず応接室に向かうと、ジュリアス夫人がお茶を飲んで待っていた。
「ごきげんよう、ジュリアス夫人。」
「ごきげんよう。」
そう返した夫人はなんとなく前に見た時よりもやつれていた。
「…メイベルナ様の妃教育の現状がかなり酷いのです。」
「メイベルナ?」
「メイ様のことです。オーディン侯爵家の養子になり、貴族としての長い名前をもらったそうですわ。」
オーディン侯爵家…確か今侯爵家の中で1番強い家よね。
リンドガルトに断られたからオーディンの養子になったんだ。
でも、オーディンって皇后の座を狙っていた同年代のご令嬢がいなかったっけ?
「シャルローゼ様と同じように教えても中々身につけてくれなくて…。彼女、文字を書けないのです。まさかそんなレベルだったとは…。」
「でも平民の娘でしょう?平民の識字率ってよくないもの。書けなくて当たり前だと思うわ。読めるのでしょう?読めるだけマシだと思いますわよ。」
でも皇后が文字を書けないと言うのは有り得ない話ね。
「しまいには、私は殿下に追い出されてしまいました。私は厳しすぎるから新しい教師をつけると。」
「まあ…。殿下も酷いわね。ジュリアス夫人ほど妃教育や淑女教育に精通している方はいないのに。…淑女教育…?」
「シャルローゼ様?」
そっか、ジュリアス夫人ってマナー教育もされるわよね。
よし!
「ジュリアス夫人、新しい勤め先って決まってます?」
「いえ、先程暇をいただいたところですので決まっておりません。」
完璧じゃない!ジュリアス夫人に学校の先生になっていただきましょう!
女性騎士の育成の次は学校を建てるのよ。平民のためのね。
「ジュリアス夫人、私があなたを雇いたいのです。実は、学校をつくりたいのですが、ジュリアス夫人ってビジネスマナー等も教えられるのでしょう?」
「はい、そうですが…。」
「学校でビジネスマナーを教えていただけませんか?女子生徒の簡易的な淑女教育もお願いしたいです。」
ジュリアス夫人が快諾してくれたから、こっちもちょっとずつ勧めていくことにしましょう。
女性騎士の方は、今建物の建築と鎧のデザインに取り掛かっているところ。
学校も近いうちに作れるはずだわ!