4話
「メイ!リンドガルト公爵家に、メイを養子にしないかと打診をかけたぞ。」
「わあ!嬉しい!」
「皇妃のシャルローゼよりも上の身分になりたいんだろう?リンドガルト家が了承すればリンドガルト家の家格が上がって完全にシャルよりも身分が高くなるぞ。」
俺はメイの願いでリンドガルト公爵家にメイを養子にしないかと打診した。
二大公家のリンドガルトとエステリアだが、これでリンドガルトが皇后を輩出するのが3人目となる。
リンドガルト家としてもエステリアを抑えて筆頭公爵になれて嬉しいはずだ。
「そうだ、メイ。妃教育には慣れたか?」
「あ〜…。メイ、先生替えてほしい。」
「ジュリアス夫人に何か問題が?」
◆
「メイ様!姿勢が崩れていますよ。はい、背筋を伸ばす!いい加減になさらないと背中に物差しを入れますよ。」
「わぁー!やめてよ!これでも一生懸命やってるんだけど!?」
「言葉使い!何度言えば理解されるのです!?“やめてよ”ではなく“やめてください”、“やってるんだけど”ではなく“やっていますわ”です。」
と、こんな感じで先生であるジュリアス夫人は物凄く厳しいの!
私、嫌われてるの?
って言うか、シャルローゼがお仕事とか全部してくれるんでしょ?私がこんなことする必要あるの!?
「まったく…。できないではありません。できるようになりなさい。あなたはシャルローゼ様よりも優れていると証明しなくてはなりません。シャルローゼ様にできないことなどございませんでした。あなたには努力して全てこなして頂かなくては。」
◆
「こんな感じで、すっごく厳しいの!」
「…わかった、ジュリアス夫人にもう少し優しく教えるよう言っておこう。」
「ありがとう、アラン殿下!」
◇
そして数日後。
「何故だ…、何故リンドガルトは断ったんだ…。」
メイを養子にするとばかり思っていたリンドガルト家は、断る旨を手紙で伝えてきた。
納得がいかないから呼び出すことにしたぐらいだ。
そろそろ来る頃合いだろうから広間に移動しているとばったり父上と出会した。
父上には伝えていないから今は会いたくないんだが…。
「あ、父上…。」
「アラン。平民の娘にうつつを抜かしてエステリア嬢を皇妃に降ろし、激怒されたというのは本当か。」
「そ、それは…。」
「エステリア公が婚約破棄を申し入れてきたのは知っているだろう。本当に何をしている。おまけに、リンドガルト家に物凄く失礼なことを言ったそうじゃないか。私も広間に行こう。彼らの前で説教してやる。」
そう言われて、俺は渋々父上と一緒に広間に向かった。