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29話

連れてこられたナイジェルは抵抗せずにじっとしていた。


「おお、ナイジェル!お前からも言ってやれ!」


「…父上、恥ずかしくないのですか。」


ナイジェルが来て味方が増えたと思ったらしいオーディン侯は、そのナイジェルからそう言われて顔を青くした。


それは、ナイジェルがほぼ毒を持ったことを認めたも同然だから。



「な、ナイジェル?何を…。」


「父上が何かよからぬことを考えているのは知っています。頻繁にアラン殿下に会いに行く父上をどう見たら怪しくないと思えましょうか。」


フローラ様はそれを聞き、オーディン侯に詰め寄った。アーネストもだ。


「今認めるなら、家の取りつぶしはなしとしよう。認めないなら取り潰しだ。」


「俺の前に置いてあったお茶にも何か入ってたの知ってますからね。」


美形2人に鬼の形相で詰め寄られたオーディン侯はついにこう言った。


「だから、アルケミスってなんだ!?そんな物持ってないぞ!お前らに飲ませたのはキンデアだというのに何故…。」



そこまで言って、オーディン侯はしまった、と口をつぐんだ。


「言ったな?とりあえず、取り調べだ。親子共に自白剤を飲ませ真実を吐かせろ。ナイジェルに関しては巻き込まれただけである可能性が高いから、関与が否定されたら解毒剤を飲ませるように。あとは彼の判断で喋らせろ。」


フローラ様がそう言い、オーディン侯たちが連れて行かれたためまた部屋の中が静かになった。



「よし、これでいいわ。ちょっと強引な気もするけど、先に情報を手に入れて私たちに都合がいいように回しただけよ。」


「シャルも悪いこと考えるよね。」


「オーディン侯は元々怪しいと思っていたのよ。フローラ様に向けていたあの視線、見た?」


部屋の中にはアーネストと私と女医さんだけになり、私たちはそんな会話をしていた。


「オーディン侯爵はフローラ様がお嫌いなのでしょうか…。」


「違うわ。オーディン侯はもともと女系反対派よ。そこでさらに、養子にした平民が捕まったから…。」


「その養子の方、メイベルナ様でしたっけ。なんだか可哀想ですね。」


「違うわ、そもそもの始まりはアランがメイにうつつを抜かしたからよ。」



いつのまにか女医さんと仲良くなった私たちは、女医さんとプライベートで会う約束をした。


さっきもちらっと名前を呼ばれてたけど、女医さんの名前はベッキーで今25歳の若手医師。


ベッキーの実家は城下でレストランを営んでいるらしい。今度、そこでご飯を食べに行くことになった。

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