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27話

「今日は予定があるので顔を出すだけにしますね。」


「おや、お茶は飲んで行かれないのですか?ベウリーズ産の紅茶を用意しているのですが。」


「ベウリーズってオーディン侯爵領の茶葉の産地ですわね。」


「そうですとも。とても美味しいのでぜひ、ね。」



オーディン侯は私がそう言ったことで気分が良くなったらしい。上機嫌でガーデンのガゼボに着くと、疲れたのか椅子にどかっと座った。


「ほらナイジェル、自己紹介をしなさい。」


ナイジェルと呼ばれた少年は立ち上がるとお辞儀をした。


「ナイジェルと申します。」


それだけ言うと、ナイジェルはまた椅子に座った。



「アーネスト、お茶は飲まないでね。私に考えがあるから。」


私はオーディン候がナイジェルと話している隙にアーネストにそう言った。


そして、一応キンデアの中和剤を飲んだ。識別もできるやつよ。


「…特に何をしようとしてるか聞かないけど、変なことしないでね…。」


アーネストにグットポーズをすると、「どこでそのポーズ覚えてきたのかな…。」と言われた。



入れられたお茶を飲むと、口の中が苦くなった。


…当たりだわ。キンデアの毒が入ってる。


まあ中和剤があるからアーネストみたいにはならないけど…。


アーネストの方を見て、目線だけで「飲まないで!」と伝える。


アーネストは頷き、お茶には手をつけずに私の方を見ている。


オーディン侯はナイジェルと話しているから、こっちの会話は全く気にしてないみたいだった。



「よし、やるわよ。」


アーネストにそう言い、私は…その場でバタンと倒れてみた。


「ちょっ…シャル!?」


一瞬焦ったアーネストはすぐに私の意図が分かったようで私に合わせて演技をしてくれる。


「お茶を飲んだ直後に倒れた…ということは、お茶に何か入ってたんだな!?おい、そこのメイド!突っ立ってないで医者を呼んできてくれ!」


「は、はい!」



「何事ですか…!?」


近くを通っていたらしい近衛騎士が駆けつけてきたみたい。


「オーディン侯にお茶会に誘われたんだが、シャルが何か盛られた!」


「なんと、エステリア嬢が…!?オーディン侯、事情聴取だ。少し来てくれ。ナイジェルもだ。」


近衛騎士が来てから、事が面白いくらい私の狙い通りに進んでくれた。



少しして、私は宮殿にある部屋に入れられたらしく、医者の声が聞こえてきた。


アーネストの声も聞こえるけど、オーディン侯たちの声はしないわね。よし。


ぱちっと目を開け、私はベットから起き上がる。


横にいた女医さんを見ると、女医さんはびっくりしていた。


「ごめんなさいね。毒を盛られることわかってたから中和剤を飲んでいたの。」


「な、なるほど…。」


アーネストが特に慌てていたりする様子がないのを見た女医さんは、私たちが本当に毒を盛られた訳ではないんだと思ったのかほっとしたように座り込んだ。

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