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20話

「南方の病は、患者の出る範囲は広がっておりませんが患者数は増加していく一方です。まだ原因も不明のままです。」


今日も私とアーネストは会議に駆り出されていた。


昨日までと違うのは、皇帝陛下の隣にフローラ様がいらっしゃる点。



「発言しても?」


陛下の方を見てそう言うと、陛下がうなづいた。私は持ってきた書物を見せながら説明していく。


「この病は汚染症かと思われます。エステリア家の書物に似たような症例の病の記載がありました。リンドガルト家にも、同じ記載のある書物がございます。」


「汚染症とはどのようなものなのです?」


それまで会議を聞いていたフローラ様が不意にそう言った。


「汚染症とは、魔物の悪い気が原因で起こる病気です。症状は高熱であったり、皮膚が黒くなることであったりします。南方の病と症状が酷似しておりますし、汚染症を引き起こす魔物が出現しているのでしょう?」


「ガルネア、今すぐ調べてきてください。」


「はい。」



フローラ様は彼女の秘書官的存在であるガルネア様に汚染症について調べさせた。


彼女が戻ってくるまでは別の議題を進めて、30分後に彼女が戻ってきて病についての議題に戻った。



「大図書館の記録保管庫で、汚染症についての記載を確認いたしました。エステリア小公爵様のおっしゃられた症状、原因も一致しております。」


大図書館は国内にあるほとんどの本とさまざまな記録が保管されている建物。


ここに記録があればその事象はたとえ伝説だとされていても存在するという証拠になる。


「大図書館にあるなら汚染症の存在は事実なのでしょう。エステリア小公爵、汚染症の対策について思い当たることはありますか。」


「聖職者の同行による、その地域の浄化が効果的であるとエステリアの書物にはありました。」


「大図書館の記録にもそのように記されております。」


「わかりました。ガルネア、ご苦労様。」


発言のため1歩前に出ていたガルネア様はお辞儀をしてフローラ様の後ろに控えた。



「では、次の討伐隊から聖職者も同行させるとしよう。」


陛下がそう言い、病についての議論はとりあえず終わったため私やアーネストは会議を退出する許可が降りた。


もちろん、これ以降一切発言権のない会議に参加しても退屈なだけだから、退出する。



「ねえアーネスト、汚染症についてなんだけど、これだけで終わる気がしないのは私だけかしら?」


「…って言うのは?」


「汚染症を引き起こすペルアテもギィゲオもヴィミセットも、突然変異種よ。ごく稀に自然界で大量発生することがあるけど、汚染症について極端に記録が少ないのは出現しても1、2匹だから汚染症が引き起こされないからなの。」


「つまり、ここまで記録が少ない汚染症が自然発生する確率はほぼ0に近いと言うことね?」


アーネストと話していたのにいきなり後ろから聞こえてきた声にびっくりして振り返ると、そこにはフローラ様がいらっしゃった。

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