2話
「姉上を嫌っているのに婚約破棄しない理由って絶対皇妃様にあるよね。」
「おおかたそうだろうね。皇后の子ではないアランが皇帝になるにはいい家柄の令嬢と結婚する必要があるから。」
「そんなことのために私を皇妃にって言ったの?許せないんだけど。」
私たちがわいわいお茶を飲んだりお菓子を食べていたら、メイドが私を呼びにきた。
「お嬢様、旦那様がお呼びです。」
「私の皇妃問題よね?すぐ行くわ。」
「あ、リオン様とアーネスト様も旦那様がお呼びです。お嬢様と一緒にお願いいたします。」
そう言ってメイドは部屋を出て行った。
「俺たちも?」
「とりあえず行こうぜ!」
ということで3人でお父様の執務室へ。
執務室の前には執事がいて、ドアを開けた。
「ごきげんよう、お父様。」
「お久しぶりです、エステリア公。」
お父様は私たちを見て微笑むと、早速話題に入った。
「シャルローゼ、殿下に平民の娘を皇后とするから皇妃となれと言われたのは本当なのか?」
「はい、事実ですわ。」
私がそう答えると、お父様は怒りをあらわにしながら続けた。
「シャルローゼはそれで良いのか?」
「嫌に決まってるではありませんか。私の性格、ご存知でしょう?さらに、本来皇后が行う政務を全て私に押し付けると仰っているの。平民の娘…メイを聖女としたからよ。」
「はっはっは、確かに。シャルローゼが皇妃なんぞで満足するはずがないな。…シャルローゼののぞみは何だ?多少無茶苦茶でも陛下を脅せばどうにでもなるぞ。」
「…エステリア公は相変わらず怒ると恐ろしい…。」
「何か言ったかな、リンドガルト公子。」
アーネストがぼそっと言ったことをお父様は威圧で返した。
「それで、シャルローゼはどうしたい?」
「私、婚約破棄したいですわっ!!」
そう言うと、お父様は一瞬驚いた顔でこう言った。
「いいのか?シャルローゼの望む権力は得られなくなる可能性があるが。」
「姉上、いっそのこと姉上が公爵位継いだらどう?」
口を挟んできたリオンの言葉に、私はそれだ!!と思った。でも…
「リオン、それだとリオンが3年受けてきた後継者教育の時間が無駄になるのではなくて?」
「いや!俺としては、正直誰かのサポートの方が性に合ってるって思うんだ。それに、姉上ちょっと前に“女性でも爵位が継げたら良いのに”って言ってただろ?」
あ〜…言った。確かに言ったことがある台詞だわ。
「…シャルローゼは爵位を継ぎたいのか?」
「ええ、そうですわね。私は誰かに付随するのではない、自分の権力が欲しいですわ!!!」
「リオンは本当にそれでいいのか?」
「はい、父上!全力で姉上をサポートいたします!」
「…リンドガルト公子、こんな娘と息子だが、これからも仲良くしてやってくれると嬉しい。」
と、こんな感じでお父様が陛下に私とアランの婚約破棄と女性の爵位継承を許可させようと皇城へ出向いてくれた。
実際は陛下の方からアランの件で手紙が届いていたらしいけど。
結果は両方とも勝利!
私は婚約破棄でき、さらに公爵位を継げることになった。