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10話

「お嬢様、パーティーの招待状が届いております。」


「忙しいから行きたくないのだけれど…。お断りしといてくれない、フィリーナ。」


「いえ、それが…。」


フィリーナが差し出したのは、皇族の方からの手紙だった。


差し出し人はアラン。


ということはつまり、断ることはできない。


皇族の方からの誘いを断ることは、誘い主の気分次第で反逆罪になることもあるの。


「…強制参加ね…。」



パーティーの日は4日後だった。


もう少し早く送って来なさいよ。


絶対、前々から日は決まってたでしょ。


「ドレスはどういたしますか?」


「前回参加できなかったメイス侯爵の夜会で着る予定だったドレスを着るわ。」


「かしこまりました。よかったです、あのドレスの形、今流行中ですからね。」


「そうなんだ?まあ流行だろうがなんだろうが、私に似合うドレスでしょ?」





招待状が届いた次の日。


リオンが私にとある相談をしに来た。


「姉上、パートナーが見つかりません…!」


そう、パーティーに一緒に参加するパートナーがいないってこと。


私にも今のところパートナーはいなかったけど、私は1人で良いと思っていた。


でも、リオンはそうはいかないわよね。


「確かに、リオンはパートナーがいないと困るわよね。この前、ご令嬢たちに追いかけられてたし。」


「はい、なのでパートナーは俺にとって必須なんです。…というか、姉上にもいませんよね、パートナー。」


「それは別に良いでしょ。」


リオンが「よくないよくない…。」と言ってる横で、私はリオンのパートナーの適任者を探していた。


よく兄妹のペアは見るけど、兄妹では“妹のパートナーを兄がする”というのが暗黙のルールだ、何故か。


つまり、姉である私がリオンのパートナーとして出席することはできないのよね。



「あ、ベアトリスちゃんにお願いしてみる?」


「ベアトリス嬢ですか?」


「ええ、今日の午後にアーネストが来るから、聞いてみましょう。」



そして、午後。


「ベアトリスのパートナーをリオンが?ありがたいよ。ベアトリスのパートナー、まだ決まってなかったんだよね。帰ったら言ってみるよ。多分喜んで引き受けるだろう。…俺も早くパートナー見つけないとな。シャルは1人で行くんだっけ?」


「それさ、姉上とアーネストがペア組めば良いんじゃないか?」


「え、アーネストと?」


「良いな、それ。エステリアとリンドガルト、それぞれお互いの兄妹がパートナーなら変に婚約とかを勘繰られることもないし、何より…。」


「「シャル(姉上)に悪い虫が付かない!」」


あら、なんだか流れがおかしく…?



「アーネストがパートナーなら安心だな!」


「ああ、任せてくれ。シャルの美しさや下心で寄ってくる男は全員排除しよう。」


「さながら“夕空の美姫”の騎士だな、アーネスト?」


「ちょっと、その名称は出さないでちょうだい!」



夕空の美姫って言うのは社交界での私の二つ名。


私の目の色は夕焼けみたいなグラデーションだから、夕空。


「良いじゃないですか、姉上。世界一美しい姉上にぴったりの名ですよ!」



やめてほしいわ…。


なぜ貴族ってカッコつけた二つ名を付けたがるのかしら…。

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