~帝国の黄昏 (1)~
更新久しぶりになりました。
5月に心不全で救急搬送され入院して、療養してました。
今年は1月に父が他界し、自分も5月に死にかける等、大変でした。
少しずつでも、更新していきますので、宜しくお願い致します。
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ビザニア帝国皇宮・大広間(燕の広間)
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「一体何が起きているんだ?」
「北伐軍にいる息子からの返信が無い!」
「ウェストランドの司祭たちが急遽慌てて帰国したぞ?!」
「・・・不確認な情報だが、クーアラントとの国境線に負傷兵の大群が帰ってきて大混乱との話しを聞いた・・・。」
貴族が集まる燕の間で、諸侯や貴族たちが不安気に情報を求めて話し合っている。
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当然だが、クーアラント北方正教国に派遣したビザニア帝国北伐軍からの連絡が帝国軍最高司令部に届かなくなったことで、情報が生命線である貴族社交界で不信感を持たれない訳が無かった。
「一体どうなっているのか! あれほどの兵力を投入して、どんな体たらくだ!!」
帝国副宰相のラスカレス・ヴァン・フィエノールト侯爵が、普段の冷徹な仮面を思わず脱ぎ捨てて報告した側近の官僚に怒声を浴びせる。
「はっ!不確認な情報ですが、北伐軍より、折れた矢が発信されたとの報告も・・・。」
「・・・・はぁ!? 今なんと申した!?」
あまりの事に、ラスカレスはむしろ感情を失ってしまい執務室の椅子に座りこんでしまう。
「はっ! 北伐軍司令部より、城塞都市スオミを攻略、直ぐに敵首都ヘルシニア攻略に向かう、との魔信がありました。しかし、その後、北伐軍兵站司令のオテル上級特科将官の名前で、最高度救難信号折れた矢が発信されたと国境線の通信司令部から連絡が。しかし、距離が遠すぎるのと、移動型魔信機と思われる為電波が不安定ではっきりとは確認できず・・。」
「・・・・そうか。ご苦労、家宰のセバスチャンを呼んでくれ。」
ラスカレスは側近を下がらせ、先代からの家宰のセバスチャンを呼びよせた。
彼は、ラスカレスの生まれた時からの守役でもあり、最も信頼する最側近である。
「旦那様。お召しにより参上いたしました。」
セバスチャンがラスカレスに慇懃に礼をする。
「爺、聞いたか?」
ラスカレスが2人だけの時の呼び方で、主語も言わずに聞く。何故なら、家宰のセバスチャンはフィエノールト侯爵家の暗部と情報局の最高責任者でもあるからだ。
すべてを知る者。
「はい。今が(機)なりと。」
セバスチャンが短く、しかしはっきりと答えた。
「・・・・そうか。では、モルガン第6選帝侯家に食い込めるな。」
「はい、旦那様。何時でも、仰せのままに。」
・・・・帝国の中枢である広大な副宰相執務室にしばらく鉛のような沈黙が続く。
「・・・・・北伐軍を見捨てよ。但し、気づかれず、援軍を出ししかも間に合わぬよう、細心の注意を持ってだ。フィリップ候とクルト伯には死んでもらう。」
ラスカレスは顔を右手で覆い、肩を震わせる。
「ククククッ・・・アーっハッハッハーーー!!!」
顔尾を覆う手をおろし、歓喜の声を上げるラスカレスの目は狂気を湛えて輝いていた。
「爺、モルガン第6選帝侯のあのバカ息子、オスカルとバカ姑のユリア、そして第4選帝侯のコルネリウスの能無しに直ちに連絡を。(今がチャンスだ、モルガン侯爵家を手に入れられるぞ)、とな!!」
家宰のセバスチャンが全てを了解して退出した後、ラスカレスは今しがた見せた狂気の欠片も見せずに執務室のデスクの椅子に座り両手を組んで額に当てて沈思黙考する。
(・・これで大貴族を掣肘し、帝国皇室の権威を取り戻す。軍部に最も影響力のある第6選帝侯モルガン家を叩いて下につければ、他の選帝侯家はどうにでも出来る。馬鹿に継がせ、適当なところで損切りして妹姫に私の種を仕込んでやれば万々歳だ。ククク・・面白くなってきた。)
ラスカレスは額に当てていた手をおろし、唇の端を上げたゆがんだ笑顔で虚空を見つめる。
(勝つのは帝国か、クーアラントか、・・・・・・それとも俺か!!)
少しずつでも更新します。




