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第4章 ~絶対国防圏~(6)

またチマチマと投稿させて頂きます。

お目汚しですが、宜しくお願い致します。

************************************************


 「敵軍、ほぼ壊滅状態です!!」

 「武装を放棄して、一部の敵兵がバラバラにナッキュ湖に退避しています!」

 「約10000人程度と思われる敵兵が火炎より逃げて湖に泳ぎ入っている模様!」


 攻撃側の友軍部隊より、続々と魔信により祐太やグスタフ団長・クロック翁の元に戦況報告が入ってくる。

 「最早、敵軍はほぼ全滅じゃな。だが、まだ生き残りはおるようだ。」

クロック翁が見事な白髭をしごき撫でつつ誰とにでも無く呟いた。

 「では、儂が止めを刺すかのう?どうする、グスタフ司令官?ユータ殿?」

確かにもう組織戦は不可能な状態ではあるが、10000人の敗残兵は放置できない。

 数だけなら、独逸帝国陸軍基準の定員完全充足した1個旅団か保安1個師団である。装備はほぼ無いが。


 「敗残兵が野盗化しても厄介だ。潰すか?」

グスタフ団長が左にいる祐太に顔だけ向けて聞いてきた。


 祐太はナッキュ湖畔の崖上から眼下の街道と湖面に目を向ける。


**********************************************


 「助けてくれー!頼む!!」「降伏する!!降伏する!!だから、命だけはー!!」

 「剣も槍も捨てた!抵抗しないから、殺さないでくれー! 頼むー!!」

 「私はどうなってもいいから、部下たちの命だけは助けてやってくれー!!騎士の情けをー!!」

 「どうか、お慈悲を~!! 国には女房子供がいるんです~!!」


 街道上の部分部分で湖面に少しはみ出た場所で、辛うじて火炎地獄からほんの少し逃れられて団子状態で火に焙られつつ生き残っているビザニア兵達が、対峙する崖上のクーアラント非正規軍の兵達に必死に命乞いをしている。

 ナッキュ湖に逃れ出た兵とは別に、ざっと見てまだ5~6千人程は生き残っているようだ。


 愛する祖国が侵略をうけ城塞都市スオミと住人達を蹂躪され、更に首都ヘルシニアも攻城包囲されているクーアラント兵達は復讐心に気も狂う程に燃えていた。

 だが、彼らは戦闘の山場が過ぎて自分達の文字通りの圧勝、更に一方的にあまりにも大量の敵兵、つまり人間を焼き殺しているという現実を徐々に認識して復讐者から(普通の人間)に戻りつつあった。

 自分に剣を向ける相手を殺す事には罪悪感を過剰に感じなくても、跪いて命乞いをする相手を笑って殺せる(狂人)では決して無い者達に。


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 「いや、降伏する者は武装解除し下着のみで国境線に追放しましょう。我が軍の方が既に残存兵数で圧倒的です。兵達も狂騒状態から脱却しつつあります。これ以上の殺戮は兵達の心を壊してしまうでしょう。」


 祐太は当初の作戦目標である完全殲滅は最早必要ない、と言うかすべきではないと判断した。


 「捕虜にもせんのか?」クロック翁が聞くが、祐太は

「いや、むしろ着の身着のままで国境線の別動隊に合流させた方がいい。全ての装備と物資を失い数多い負傷兵ばかりの、しかも心の折れた1万以上もの敗残兵が食料も無く下がってきたら、別動隊はその対処だけで時間も物資も大きく浪費する羽目になるでしょう。本国にも直ちに報告が行くはずです。さらに敗残部隊を見た敵兵達の士気の低下も必然です。これほどの損害、ビサニア帝国の総司令官は継戦能力自体を危惧するはずで、敵は最早国境線から進撃する能力を失います。我々は後顧の憂い無くヘルシニア包囲中のビザニア帝国軍を背後から攻撃し、友軍と挟み撃ちにできます。」


 なるほど、とグスタフ団長やクロック翁は何度もうなずく。


「そのために、ナッキュ湖に逃げている敵兵に風魔法で降伏を勧告しましょう。水の中にいる状態で、サンダーストーム・タイフーン(雷属性広域破壊大魔法)を食らえばどうなるか位、解るでしょうから。」


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~(降伏せよ! 繰り返す、降伏せよ! ただちに岸に向けて移動せよ!拘束はしない、直ちに国境に向けて退去せよ! 武装は全て放棄して退去せよ!! 繰り返す・・・・・)~


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 「・・・やれやれ、どうやら命は助かったみたいだね。」


 ナッキュ湖の真ん中程まで木箱を抱えて泳ぎ着いていたオテル特科上将は、周りの幕僚や兵達に声を掛けた。オテルを囲んで200人程がゆっくりと対岸に向けて色々な木材を抱えて泳いでいる。


 「皆、それじゃあ岸に向ってもうひと頑張りしようか。とにかく国境線に転進しよう。その後のことは、僕に任せてくれればいいよ。・・・責任は僕1人にあるから。」


 その言葉に、幕僚たちは何とも言えない顔で目を伏せた。


 「・・・・生き残りは2万もいないようだね。言い訳の仕様も無い惨敗だ。貴族士官や騎士士官も殆ど戦死した。責任は免れないな~。」



 とりあえず先ずは生きて残った部下たちを国に連れ帰らないと、とオテルはまずやるべき事に意識を向けるのだった。





 出来るだけ早く更新します。

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