第4章 ~絶対国防圏・(1)~
更新遅くなり申し訳ございません。
仕事が忙しく、くたばっております。
~軍人としての知識を活かし、敢えて非道な作戦を実施する裕太。~
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「静かにしろ…いいか、咳一つするなよ・・・」
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此処はナッキュ湖の街道上の崖の上、崖から20m程森に入った所に大体の線を引き伏兵として配置された冒険者と(暁の長槍団)の潜伏する前線拠点だ。
部隊は全員茶色や草色のマントや布をかぶり、更に落葉や枝を被ってカモフラージュして窪みに伏せて街道を密集体形で進軍するビザニア帝国軍第2陣の斥候部隊から隠れて(その時)を待っていた。
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「急げ!可能な限り迅速にヘルシニアに向かうんだ!」
第2陣の司令官、オテル将軍が部隊を叱咤する。
「この街道はモルガン司令官が精鋭部隊と共に2日前に突破した、危険はない。クーアラントの他の騎士団はヘルシニア防衛戦と最北のキルナ地方の守備で動けない!クーアラントの正規軍もヘルシニアに集結中で、この近辺には敵軍は存在していない。」
オテル将軍は迅速な進軍でヘルシニア強襲部隊への補給と兵力の増強を行うため、重装歩兵の鎧や盾等の防具を脱がせて荷馬車や重装騎兵・軽装騎兵に積み込ませて行軍速度を上げていた。
部隊全体の行軍速度は倍近く上がったが、戦闘への即応は不可能。だが、(特科将官)であるオテル将軍は此処は後方の安全地帯だと解釈しており、それならば如何に効率よく(物資を運んで期間を短縮し経費を節約するか)を主眼に行動判断していた。
本国の兵站司令部の失策により、補給路の途絶や補給物資の枯渇で北伐軍がかなり厳しいヘルシニア強襲作戦を実施せざるを得なくなった現状に、兵站司令官として深刻に焦っているのが言葉や行動の端々に見えていた。
オテル将軍は焦っていた。一刻も早く、補給物資と補充部隊を前線のモルガン総司令官に届けねばならないと。
それが、彼から冷静な判断力を奪っていた。
更に、ヘルシニア強襲に古参兵や精鋭部隊の悉くを抽出されたため、斥候兵や指揮官・参謀連に至るまで経験不足な者や兵站士官・特科士官が殆どであった事も現状に疑問を持たない理由であった。
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「ユータ殿、そなたの(ギフト)のマジックボックスは、特別な(加護)付きのようじゃが。」
クロック翁に言われ、初めて中を確認した。そう言えば転生から今まで急転直下で碌に確認していなかった。って言うか、忘れていた。
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「これは・・・。」
そこに入っていたのは、マイヤー伯爵中将としてベルリンで戦死した時に身に着けていた軍服一式と父の形見のC96モーゼル拳銃に、母アマーリエや長男ジークフリート等の家族の写真や手紙だった。
裕太は、この世界に来て初めて泣いた。
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裕太は独逸第三帝国の将官軍服と勲章、制帽•長靴を身にまとい、グスタフ団長やクロック翁と作戦を確認し3人で皆の前に立つ。将官軍服は不思議とサイズは今の体形にオーダーメイドしたかのようにぴったりだった。汚れや綻びもなく、まるで新品の様に輝いていた。
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「おい、あの軍服は・・。」
「なんて仕立てのいい、目の詰まった生地だ。さすがだぜ、ハイ・エルフ・・。」
「神々しいばかりだぜ・・・。聖王より神々しい・・・。」
「あれはハイ・エルフの戦闘服なのか、まるで戦神のようだ・・。勝てる!勝てるぞー!!」
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裕太は軍人の、フランツ・フォン・マイヤー将軍に戻って命令を出す。
「いいか諸君、よく聞け!敵軍の先頭がナッキュ湖脇の街道を通りずぎる瞬間に、切り出して魔法で乾燥させておいた丸太と岩を纏めて落とし進路を絶つ!
更に同時に隊列の最後尾の後ろにも同じようにして退路を断つ!
障害物の丸太や岩には揮発油を大量に浴びせて火を放ち、その上で街道上全長に配備した部隊から一斉に油や酒精を撒いて火炎魔法や火矢で火を放つ!
火に包まれて混乱した敵に崖の上から一方的に弩弓や弓矢・投げ槍に投石で攻撃し、最後は私の合図で突撃し敵を湖に叩きこむ。
いいか!敵軍は15万以上だ!薄く配備した7千人の我が軍で打ち破るにはこの作戦しかない!容赦するな。降伏を受け入れる余裕はない、殲滅せよ!!
すべての合図は魔信で行えるから、各級指揮官は私の命令を聞き逃しの無いように注意せよ!!」
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「ユータ・・・。つらいんでしょ、顔が泣いてるよ。」
エテルがそっと裕太の手を握り囁く。
「・・・・あたしも火炎魔法を撃って参加するよ。だから、1人で抱え込まないで。」
アリアが裕太の目をしっかりと見て言った。
「・・・・ありがとう。地獄に行く覚悟はできている。」
裕太は、自分に言い聞かせる様に静かに言った。
いよいよ戦端が開かれます。
不定期更新で申し訳ございません。
出来ましたらコメント等頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。




