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第三章 護国の為に祝福を。(6)

 取り敢えず、更新させていただきます。拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

**********************************************



 「現在、クーアラント北方聖教国方面で動員可能な(暁の長槍団)は約4千、冒険者はクーアラントにある冒険者ギルドで連絡がつき更に志願した3千人ほどです。」


 ロンバルディア王国の軍官僚が報告してくる。


 「(暁の長槍団)の主力1万3千はミルヒ自由国の要請を受け南方の港町トーロンと首都ミルヒニアを結ぶ南通商大路の警備と商隊護衛、海賊からの沿岸部の村落等の防衛・および活発化した山賊の討伐に出兵してしまっております。小部隊ずつ広範囲に展開させてしまっている為、今回の戦争には間に合いませんし、そもそもミルヒ自由国との傭兵契約がある為動員もできません。」


 グスタフ団長の横にいる、参謀役らしい長身の剣士が淡々と言ってくる。


 「まさかこんなに早くビザニア帝国軍が総力戦でクーアラントに侵攻するとは予想できなかった。情報部の失態だ。後手に回ってしまったな。」


 フィーネ軍務卿は天を仰ぎつつ、「(暁の長槍団)が休暇で部隊を交代で休ませるために、本拠地のクーアラント国内にある自前の城に4千でも部隊を戻していて助かった。全部隊が出払っていたら、詰んでいたところだ。」

 と(暁の長槍団)団長のグスタフにほっとした様子で軽く会釈をした。


 因みに(暁の長槍団)はクーアラント北方聖教国が後ろ盾になっている公認の傭兵団で、他にある半分盗賊の様な雑多な傭兵団とは周辺諸国の信用が違うそうだ。


 「おそらく、ミルヒ自由国国内で山賊や盗賊が活発化しているのはビザニア帝国の工作でしょうな。」

 グスタフ団長は、スキンヘッドをつるりと左手で撫で上げて言った。


 「それにより、ミルヒ自由国の国軍を国内に分散させ統一行動が直ぐには取れない状態にさせて南方国境線の脅威を抑える事。加えて対ミルヒの国境防衛軍を縮小・その分を転用し侵攻軍の兵力を可能な限り増やし、尚且つクーアラント国内に本拠地のある我ら(暁の長槍団)の過半数以上をミルヒ自由国に雇用させ南に誘い出す。」



 「まんまと引っかかった訳だ、我々は。」


 フィーネ軍務卿は忌々し気に嘆息した。



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 「これは最早戦術の範疇では無く、国運を賭けた戦略の域の大作戦です。」


 裕太は皆を前にして言った。「ビザニア帝国には、余程の政略家・戦略家が居ます。まだ深く情勢を分析で来ていないしその時間もないので、国家戦略レベルの事は僕の手には余ります。今回そちらはロンバルディア王国政府にお願いします。僕たちは先ず、副都ヴィーボルニアに転移魔方陣で飛んで状況の把握と部隊・冒険者達の掌握と編成を急ぎましょう。」


 「おうよ!(暁の長槍団)は問題ない。俺に任せてくれ。団長に逆らう命知らずは居ねえよ。」


 グスタフ団長が、いい笑顔で親指を立てる。


 「冒険者達を纏めるには、儂も協力しよう。」

 ロンバルディア王国冒険者ギルドのサブマスター、クロック翁が手を挙げた。


 「まだまだ若い者には負けんぞい。」




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  *副都ヴィーボルニア


 魔信でグスタフ団長が(暁の長槍団)の残留部隊に、また冒険者ギルドも緊急クエストを受けた冒険者達に緊急での出兵と集合を予め命じてあったため、裕太と(四つ葉の新芽)やその他の面子が転移魔方陣で移動したときには既に傭兵団4千、冒険者達3千の計7千程が集合を終えたところだった。


 「早いな。まだ数日かかるかと思っていた。」裕太が思わず口に出すと、

 「魔晶石の備蓄をありったけ出して身体強化魔法を使ったんだよ。」とグスタフ団長がニヤリとしていった。

 「後でクーアラントの聖王様が幾らでもタダでくれるってさ。使わねえ手はねえだろ?」



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 「こんなに沢山の兵隊が集まったの、初めて見た。」エテルがお眼目を大きくして言った。

 (まずい。可愛い。好みだ。・・・いや、僕は何を考えてる。集中しろ!)


 裕太は緊張感の足りない自分を恥じた。軍人であったころには、逆立ちしても出ない考えだったからだ。


 (やはり、僕は 鈴木裕太 だ。 フランツと呼ばれた人生では、軍人として人をたくさん殺した。あの知識と経験は今の僕にも全て受け継がれている。だが、僕はこれから沢山の人を死なせることに耐えられるのだろうか?あの時とは違い、大義があったとしても。)


 加えて、ビザニア帝国との戦いになると分かってからのリリアの逡巡した様な態度が気になっていた。



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 「可及的速やかに全部隊を以ってスオミ城塞都市と聖都ヘルシニアの中間地点にある半弓状のナッキュ湖に進軍。湖畔の街道の崖上の森に、街道が湖の側方に延びている部分全長に渡り秘密裏に街道を湖に挟んで展開する。ありったけの弓矢やクロスボウ・弩弓に投げ槍を確保して持っていく。投石スリングもだ!石を叩いて角を鋭く仕立てろ、時間の許す限りやれ!油もあるだけ徴発しろ、民間から買い取ってでも全部だ!!」


 グスタフ団長が裕太の立案した作戦に従い全部隊に号令する。冒険者達も、グスタフ団長の横にいる元S級冒険者・ロンバルディア王国冒険者ギルドのサブマスター、(雷鳴の

)二つ名持ちのクロック翁が頷いたのを見て、一斉に動き出す。


「さあ、急げ!」




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    *ナッキュ湖


 スオミ城塞都市と聖都ヘルシニアの中間にある細長い、半弓状の湖だが、湖に向かって凸側のほぼ全長8カーリ(14.4km)に渡り幅5m程度の整備された石畳の第二級国家街道が湖畔の水際を通る。元々崖を削ってかなり強引に作られた街道の為、路を挟んだ湖面の反対側は5〜8mの崖になり、その上は深い森である。普通スオミ城塞都市から聖都ヘルシニアには、ほとんどは途中にハブ中継都市である副都ヴィーボルニアを通る(北国街道)が途中の中継小都市や商隊宿の整備された村落があるために主要街道として使われるが、高額の魔信を使えない庶民向けの通信吏や貴族・裕福層向け生鮮食品の輸送等で急ぎの商隊等が使用する為に整備されている。特に、冬の厳冬期の長めなクーアラントでは湖自体が厚く凍り商隊の通行路にもなる為使い勝手の良い間道として存在している。フィヨルド的な湖は、岸から急激に深くなるため転落は命の危険があり毎年事故による死者が出ている。



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 「手持ちの時間と状況からして、敵のヘルシニア強襲の第一陣部隊には間に合わない。だが、輜重隊としての第二陣には十二分に間に合う。どんな精鋭部隊でも、補給線を絶てば短期で瓦解する。此処で、第二陣の増援と輜重部隊を殲滅する・・・完全に。」



 裕太は、何か大事なものを失った目で宣言した。






次回は今までのキャラクター紹介をしたいと思います。いろいろな人物が登場してきましたので、整理いたします。よろしくお願いいたします。

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