第二章 2度目の転生 宿屋 気付きの瞑想(2)
今日休みだったんで、更新できました。
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「どうしたの?すごくうなされてたよ。」
「何か知らない言葉で叫んでたけど、呪文か何かなの?」
皆が心配して語りかけてくる。
転生して忘れていた記憶、第一次世界大戦の記憶を二回目の転生で思い出してしまった。自覚はないが、辛すぎて封印していたであろう忌まわしき悪夢の戦場。
「大丈夫だよ。ちょっと疲れていたみたい。それだけ。」
裕太は汗にまみれてそう言った。
「ほんとに大丈夫?何か状態異常の攻撃とかうけてない?」
リリアが青ざめた顔で聞く。
「状態異常や呪いの感覚はありません。」
神官のシエラが断言する。
「魔力残滓の影響も見られません。」
魔術師のアリアが鑑定魔法を発動しながら言った。
「そもそも、悪意のある魔法攻撃をまだ受けたことはないはずですし。」
そうだ、精霊界から出て来たばかりと皆に言っていた。
裕太は話を合わせる。
「そうだね。来たばかりだし。誰かに攻撃されたことはないよ。大丈夫。」
「ならいいんですが・・。」
「なじめない環境で、疲れてたんだね。気づかなくてごめんね。」
シエラとリリアが辛そうに謝ってくるが、裕太はむしろ心配させたことを心苦しく思い、
「いや、心配かけてごめん。仲間にしてもらって早々にこんな迷惑かけて…。」と謝ると、 「・・・!なにいってるの!?仲間なんだから、そんな悲しいこと言わないで!」
「つらい時にはお互い様。助け合おうよ、戦友。」
とアリアとエテルが僕の手を握ってくれていた。
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まだ日の出直前の早朝だが、とても寝直す気ににもならず起床して服装を整える。
「もうすぐ朝食の屋台が通りにでてくるよ~」
と、エテルが窓から明けの明星を見つつ皆に言ってくる。朝食は自炊ではなく冒険者や労働者向けの屋台で済ますようだ。
この世界の朝は早い様子。確かに電気もないしランプは燃料代がかかる。魔法での光球や魔晶石を使う魔道具のランプは一般庶民には高嶺の花だろうし、早寝早起きが基本なんだろう。一度目の人生、フランツの幼少期も電気はまだ普及しておらず似たような生活が普通だった。
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「号外!号外!!」
早朝の街に新聞売りの少年の声が響く。
「ビザニア帝国が、クーアラント北方聖教国に侵攻したよ!!」
「難攻不落だったキルナ要塞陥落!キルナ要塞がおちたよー!!」
いつもの静かな朝の雰囲気が、突然の凶報に騒然となっていく。
「なんだって!?おい坊主、ほんとうか!?1部買うぞ!」
「(あの)キルナ要塞が落ちたって?本当かよ、おい、新聞くれ!」
「なんてことだ・・。あっちにウチの支店が・・・。俺にもくれ!」
「早く売って!姉さんがクーアラントに嫁いでるのよ!何てこと・・・。」
皆が争うように新聞売りの少年に求める。
「はいよ!銅貨7枚ね!詳しく書いてあるよ!」
普段は銅貨4枚の新聞が、7枚でも飛ぶように売れる。
少年は久々の儲けに笑顔で新聞を売りさばいた。
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*スオミ城塞都市。
北方では有数の繁栄と豊かさを誇った、クーアラント第三の大都市。
住民は10万を数え、名誉太守は北方聖教の重鎮、イルマリネン第二大主教。
守備隊司令官は、こと要塞防御では近隣に名の知られた名将・アグラヤルビ将軍。
難攻不落のキルナ要塞線に守られ、100年以上の繁栄を謳歌してきた大都市。
今、業火に包まれる。
味方であった者達によって。
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「殺せー!!!不信人の平民どもを殺すのだ!!」
「我らが信心を大神フェルトノーラ様、従属神、フィーネリア女神様に示すのだ!」
守備隊の貴族や士官が発狂したように住民に剣を向けている。
一部の狂信的思想の一般兵達も加わり、事態の収拾はもはや不可能。
守備隊司令官の将軍、アグラヤルビ子爵はそう判断した。
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「これまでだ。スオミの失陥は避けられぬ。今を耐え、次勝つ為の段階に来た。皆の者、私と共に死んでくれ。」
アグラヤルビ子爵は指揮下に残った将兵、特に一般の兵たちに語り掛けた。
指揮官級の貴族や騎士たちは敵の秘策で発狂したようになり味方に剣を向け、あまつさえ民衆を殺戮している。もはや正気の沙汰ではない。
((その上、殺戮天使・フィーネリア。))
今はただ突っ立っているだけだが、それで済むとはとても思えない。何らかの、伝説で聞く攻撃が来る。
その前に。
民を逃がさねば、聖王陛下の赤子たちを。
我が命に代えて。
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「全守備隊、反乱軍より民を守りつつ北門より撤退!殿は私が持つ!」
アグラヤルビ将軍は都城前の広場で、馬上からまだ付き従う兵たちに告げる。
「私の帰還を待つな!いいか、生き延びろよ!!」
これが、公式にはアグラヤルビ将軍の最後の言葉となった。
お付き合いくださりありがとうございます。出来るだけ早く更新いたします。




