第二章 2度目の転生(8) 宿屋に向かう道すがら
~世界の車窓から ロンバルディア王国 タラスの街を歩く~
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「それじゃあ、そろそろ宿にかえりましょう。」
リリアが立ち上がりながら、剣を佩き皆に声をかけた。
「そうね。もう大丈夫でしょ。」
アリアも立ち上がりお尻を叩いている。
裕太は半分うとうとしていたが、それを聞いて大きく伸びをして、勢いよく立ち上がった。
「本当に僕も一緒に行っていいの?逢ったばかりなのに。」
と、リリアにすまなそうな顔で言うと、リリアだけでなく4人全員が
「当たり前じゃない!あたしたちが冒険者に誘ったんだよ!」(アリア)
「今さらなに遠慮してるんですか?ユータさん。」(シエラ)
「そうだよ、少しだけど一緒に戦ったじゃない。もう仲間!助け合おうよ、戦友!」(エテル)
と笑顔で裕太に答えてくれた。
皆の親切な気持ちに思わず涙が出てきそうになりながら、
「ありがとう。みんな・・。」
と裕太は皆の好意に甘えてついて行く事にした。
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外に出ると、さすがにストーカー冒険者達はおらず、裕太と(四葉の新芽)の皆は少し遠回りして裏通りを歩いて宿に向かった。
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「この街には、スラムが無いみたいだね。裏通りなのに道も綺麗だし側溝もある。何より建物が簡素だけど統一されてる。浮浪者もいないし、物乞いの子供や老人も見当たらない。なんでだろう?」
裕太は少し意外に思いリリアに聞いた。
「あぁ、この国では、予備役工兵の練度維持のために、毎月500人ずつ交代で公共工事や貧民街の整備を無料で行なっているのよ。その時臨時雇いで貧しい人達も雑用や簡単な作業に手伝いとして日払いで雇ってくれるから。そのおかげね。」
リリア曰く、「正規軍が少ないから、予備役兵、特に専門技能が必要な(工兵)をほとんど常備できていないんだって。だから、毎月予備役から500人を交代で招集してそれを100人隊5つに編成して各地で訓練を兼ねて道や橋・河川工事にスラム街の再開発も無料で行っているのよ。家の補修や建て替えも陣地構築の訓練の一環なんだって。それでも人数が足りないから、専門的な事以外の荷運びや雑用に日雇いをしてくれているの。貧しい住民にも、軍にも一石二鳥ね。」
国民にやさしい国なのよ、とリリアが続ける。
「それだけじゃないわ。この国の主食の小麦の自給率が国内消費を上回っているおかげで、収入が一定以下の国民には小麦が必要な最低限だけど市価の10分の1で卸されているの。その他にも、軍用の固焼きパンや干し肉、塩漬け魚なんかも、保管期限が切れるとまだ食べられるのに貧しい人々に無償で配給してくれるのよ。 」
エテルが続けて「そうそう。軍用のドライフルーツなんかもタダでくれるんだよ!しかも何種類もあって、おいしいんだ~!」
その味を思い出したのか、エテルが頬っぺたに両手を当ててほほ笑む。
「私たちも(貧しい)から、有難くいただいているわ。」 リリアが笑顔で、下位冒険者はほとんどもらってるよ、と裕太に言った。
「でないと生活できないもの。」
「いい国だなぁ。独逸とは違うな。」
と裕太が思わずこぼすと、「どいつ?」 リリアに聞こえたようで、不思議そうな顔で裕太を見た。
「あ、いや、何でもないよ。それより宿はまだ先なの?」
裕太が慌ててごまかすと、「すぐそこよ。ほら、あそこ!」とアリアが道の先を指さした。
(宿屋*気づきの瞑想*)
そう書かれた看板が入り口の上にある3階建ての鄙びた建屋に入ると、「お帰りなさい、皆さん。」
古いが磨かれたオーク材の綺麗なカウンターの中から中年の細身の女性が、ホッとした顔で声をかけて来た。
「ご無事なようで安心しました。」
宿に着くまでで終わってしまった。一旦切ります。




