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【第二話】 キミはキミのままでいいんだよ。

 燦々と降り注ぐ陽光の下、今日も森の大木にもたれながら本を読むしろうさぎさん。最近の彼女のマイブームは森のあちこちにある大木の中からお気に入りの木を探すことです。ですのでここ何日かは毎日毎日日替わりで場所を移しては大木に寄りかかり本を読んでいました。


 こっくり、こっくり……


 そんな彼女でしたが、日和の良い今日この頃です。こうべを垂れてはビクッと体を震わせながら今にも夢の世界に落ちてしまいそうになっていると、遂には……


 うとうと、うと、うと……すぴー。


 幸せそうな顔を浮かべて眠りについたのでした。


 …………


 ……


 それからどれくらいの時間が経ったでしょう。

 しろうさぎさんは軽い連続の衝撃と共に目を覚まします。


 ──ぺしっ。ぺし、ぺし、ぺしぺしぺしぺしぺし!!


「あ、あわ、あわわわ、い、いったい、何ですか?」

「何ですか? じゃないわよ。ほら、避っけてぇぇーーっ!!」


 可愛いらしい甲高い声が耳元で聞こえたかと思うと長い耳を引っ張られるようにしてしろうさぎさんはそのまま横に倒れ込みます。……そしてその数秒後。ストン、という音と共に元いた場所に突き刺さったのは一本の矢。


「ひぃぃぃっ!」

「ひぃぃぃっ! じゃない。ほら、早く、こっち来て」

「あ、は、はい。わかりました」


 そう言うとしろうさぎさんは目の前を飛ぶ小さな光を追いかけてその木から少し離れた場所に行きます。するとゆらゆらと宙に漂う小さな光は次第にその輝きを弱くして、中から出て来たのは長い綺麗な銀髪をした背中に羽根の生えた女の子です。


「……ふぅ。ま、ここなら安全かな」

「あ、あの、妖精さん。この度は助けていただき、どうもあり……」


 ──ぺし。


「ひゃっ!」

「ひゃっ! じゃないって。あんたねぇ、あんな所で眠るなんて正気の沙汰じゃないわ、バカなの?」

「ご、ごご、ごめんなさい。で、でも、それは一体どういうことですか?」


「……はぁ、これだから田舎者は全く。ほら、ここからもう一度よく見てみなさい」


 そうして視線を向けた先。そこには先程の大木とそこから茂みを一つ挟んだ先で、一生懸命自身の背の丈程もある大きな弓を引いて的当て練習をしている小さなリリパットの女の子の姿があったのでした。


「あ、それとね、私、妖精じゃなくてピクシーだから!!」

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