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<Tale.1> 出逢いは、突然に。



―――夢。

夢とは何だろうか。


『過去に体験したことを寝ている間に見る』

これも夢だろう。


『自分の妄想が具現化して現れる』

これもまた1つの夢だろう。

人は寝ている間に、何かしらの夢を見るものだ。

だが、俺の見る夢は少し違っている。


『夢として見たことが、現実に起きる』


これが俺の夢だ。

そして俺は今、夢を見ている。

星波町が光に包まれ、その光の源、.....たぶん神社だろう。

そこに女の子が倒れている.........そんな夢だ。普段の俺なら、そこまで気にすることはない。何せ、夢が現実になる確率なんて、稀有なのだから。


だけど、今回は少し気がかりだった。何故なら、



その女の子と神社が、突然俺の記憶を呼び起こしたからだった―――




「お兄様、おはよう!」

朝食の準備をしていると、リビングに元気よく妹の璃々花が入ってきた。

「おはよう。まだ時間がかかるから、先に支度してこい」

「りょーかい!」

璃々花は元気よく返事をすると、二階にバタバタと上がっていった。

「まったく、何であいつは朝から元気なんだ?」

その元気を少しは勉強にもまわしてもらいたい。

と、内心呟きながら、俺は朝食の支度に戻った。

この家には俺と璃々花が二人で住んでいる。母さんは、璃々花を産んですぐ他界し、父さんは海外関係の仕事をしているので家にいないことが多い。そんな生活に慣れたせいか、最近では二人で生活していることが当たり前に感じるようになっていた。


「それでお兄様。今日はどこか出かける用事、ある?」

璃々花はハムにマヨネーズで☆を描きながらそう聞いてきた。

......何故に星?

「ん、.....いや、別にこれといって用事は、」

と言いかけたところで、唐突に今朝の夢を思い出した。

そうか、そういえばそんな夢を見た気が..........って!

「そうだ!!」

何で忘れてたんだ!?

「お、お兄様?どうしたの、何かあったの?」

璃々花が困惑した表情を浮かべて尋ねてきた。

「すまん、璃々花。悪いけど、食器とか片付けといてくれ」

「えっ?ちょっと、お兄様!?」

俺は一方的に告げると、家を飛び出した。




「はぁはぁ、.....確かこの辺りのはずだが...」

俺は荒い呼吸を整えながら、辺りを見渡した。

そこには、緑の木々に囲まれた小さな神社があった。

そして、その神社の裏から、わかるかわからないかぐらいの小さな光が見えた。

「あそこか!」

俺は急いで裏にまわった。


「おい、大丈夫か!?」

そこには白いワンピースを身に纏った銀髪の少女が倒れていた。その首元でペンダントらしき物が、光を放っている。

俺は少女へと駆け寄って抱き起こした。



「..........えっ?」

その少女の顔を見た途端、ふいにその姿が″昔の幼馴染み″の姿と重なった。..........まさか、そんなはずは...。



「....すみれ、なのか?」


俺はしばらく、そこを動くことができなかった。

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