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傷病兵2

どうやら非常に混乱していたらしい。

情報を整理すると以下の内容になった。


ひとつ、一部の魔族が休戦条約を結びたいと打診してきた。

ひとつ、交渉の場に、勇者とその仲間を指定してきた。

ひとつ、会場は、エルドラドでなく、エルランドで行うことになった。

ひとつ、全権大使は、勇者一行以外に存在する。統合軍のお歴々から来るらしい。

ひとつ、勇者とその仲間に、俺も含まれていた。


で、俺が会場に呼び出されることになったそうだ。


通常であれば罠を疑う所だが、停戦に参加した魔族の規模、

人族の被害、そして、相手が提案してきた停戦条件の優遇さが場を作るきっかけとなったそうだ。


で、俺は一応けが人なので会場で椅子に座っているだけで良いから参画してほしい、とのこと。


そんな話を、会議に出席するので上等なスーツを着せられながら聞き取ったのだった。


--------------------------------------------------------------------------------------


此処は、フレイム・ギア王国の最北端にあるインフェルノゲートと呼ばれる砦の一角。

フレアウォール王国が亡き今、最前線に位置する砦だ。


この砦の一室で件の会議が開始されようとしていた。


こちら側は、統合軍の総司令、参謀副長官を始め、勇者の御一行と俺だった。

当然、副指令と参謀長官は、この砦に居ない。


皆、順に左側に着席している。

まあ、俺は末席なので気が楽だけど。


暫くして、扉が開き、今回の主役たちが入って来た。

先頭を歩くのは、狐の耳をし、13もの尻尾を優雅に揺らす

赤い煽情的なドレスを纏った女性。

恐らく彼女が、四天王 火のルーニマーラ


彼女は、俺の目の前まで来て顔を覗き込んだ。

「なるほどのう。確かに似ておる。オージェが戸惑うのも無理はない。

 だが、それだけであやつが遅れを取るとは思えん。実力もあるのじゃろうな。」

そういうと、踵を返し、席へと向かっていった。


「妾は、四天王が一人。炎のユニマリア。

 ここに人族との会談が行えたことを喜ばしく思う。

 だが、妾は時間の浪費を好まぬ。

 それゆえ、こちらの要望を提示する。

 ひとつ。魔王の討伐。

  これはそちらの悲願でもあろう?

 ひとつ。討伐後の通商条約。

  これ以降も戦を続ける気は無かろう?

 ひとつ。勇者の仲間と四天王との間に子を設ける。

  子はこちらで引き取らせてもらうぞ。

 

 三つの要望を受け入れるならば、こちらは魔王までの道を提供しよう。

 如何じゃ?」


唖然としていた統合軍のお偉いさんは、頭をふり、

対話を開始していった。


「いきなりですね。

 最初の二つは元々お聞きしていたとおりで安心しましたが

 最後の一つは・・・まあそれより質問を何点かよろしいでしょうか」

「許す。」

「その、追加でこちらから要望を出せるのでしょうか?」

「おや。そちらの有利な条件と思っておったが。気にくわぬかえ?」

ルーニマーラは、足を組み替え、尻尾のひとつを撫でながら答える。


「い・・いえ。通商条約の内訳とか・・」

「魔王討伐のあと、政の詳しい者共で決めるのじゃ。

 今決めようなど、気が早いのう。」

「あ・・・はい。申し訳ない・・・。」


「3番目の子供の件ですが・・・」

「こちら側は、妾が相手になるから、そちら側は男を頼めるかのう?」

「ゆ・・勇者の仲間で・・ですね?」

「勇者殿でもその仲間でも良い。友好の印としては是と無いシロモノであろう?」

統合軍のお偉いさんは、既に主導権を握られてしまい

汗をかきながら聞いている。

「最後に・・」

「少々相談させて頂いても?」

ニヤリと笑い既に勝利を確信している艶やかな女性は

ただ一言

「許す。」

と答えた。

「で、では、3時間後。また」

「うむ」




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