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副隊長2

防衛戦は苛烈を極めていった。

風のオルフェの部隊は、大半が飛行する魔族

そのため、堡塁や防壁があまり意味を成さず

突貫で作成した櫓から弓や魔法攻撃が主流となる。


櫓同士には導線を確保し、撤退を可能にしている。

何故なら、敵は白兵戦が可能なうえに、上空からの突撃も行える部隊。

翻してこちらは、白兵戦が苦手な弓部隊や魔法部隊が主力に成らざるを得ないためだ。


以上のことより、前衛は、弓や魔法で墜ちた敵の止めか

撤退までの時間稼ぎが仕事となる。


だが、それを局所的でも覆す能力を持つものがいた。

戦力というには、局所的で、火力と呼ぶには拙かった。

それでも此処、砦を護るには十分の脅威。


「前衛一度下がって~。敵さん落とすからよろしくねー。」

それが隊長 ザビーネが得意とする魔法。範囲重力魔法(グラビティ)


彼女が魔法をふるうと、馬も鳥も人も押し並べて地面に墜ちる。

まあ、墜ちるのは魔族なんだが。


墜ちたからと言って地面に縛られる訳ではない。

其処までの拘束力もないし、上手く拒馬に刺さればよいけど、大体は其処には落ちない。

それでも墜ちた魔族は、弓や魔法の標的としては最適だ。

数秒の動けない時間。

それが、標的か敵かを別けるには十分の時間だったからだ。


ああ、なるほど。

自分の命と天秤に掛けても副隊長は、隊長を取った理由はこれなのだ。


だからこそ、空を舞い、空を駆る、風のオルフェは

相容れないのだ。

だから、嫌われて、避けられて、避けきれなくて、追い詰められた。


隊長の魔法(グラビティ)で墜ちた敵に一斉に矢が舞い落ちる。

「残党を刈るぞ、付き合え。前衛部隊」

俺は、体制を整えようと頑張っていた敵を、ひとつひとつ潰しに向かった。


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俺が此処に赴任してから、1週間程度が過ぎていた。

戦線は・・・・膠着状態と言えればまだマシなのだろうが

実際は人員の補充より消費の方が多い。


人員の不足は、加速度的な被害の増加に繋がる。

恐らく、このまま同程度の被害が進めば、後数日で堪え切れなるだろう。


こうなった理由は二つ

一つは、敵が空に固執しなくなったこと。

 地上を這う防衛小隊を編制し、空から墜とされたモノを支援するようになった。

 そのため、敵の被害が減り、こちらの被害が増す状況となっている。

もう一つは、


「ちいっ」

スクトゥムで敵の突撃(チャージ)を受けきる。

そのまま盾で殴ろうとしたが、空に逃げられた。


只今、その元凶 と交戦中。

やつ、風のオルフェは、空への拘りを捨てた。

そのため、徐々に前線で猛威を振るうようになってきたのだ。


伊達や酔狂で四天王を冠している訳ではない。

生半可な戦力では、留めることすら出来ない相手を、俺と隊長とでなんとかいなしていた。


「邪魔だ!人族ども!空を!道を!明渡せ!」

日に日に焦りが増すやつが、吼えた。

刹那、複数の竜巻と刃の羽根が縦横無尽に飛び交う。

敵・味方問わずにそれを受けて倒れていく。


どうやら、後数日なんて悠長なことを許して貰えなさそうだ。


覚悟を決めながら、スクトゥムとポールで飛び交う羽根を叩き落とすのだった。

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