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温度のない手
ぱき、ぱき、
と 音を立てて
凍り
付いて
ゆく
センサーは
いつも0を指したまま
動かない
きいいぃぃぃ
耳の奥で
鳴り止まない
天地が
揺れて
寸断する 思考
苦悩の底は
果てしなく 白い
嗤いながら
地獄を歩く
ーーあの子が泣いているーー
わからない
感情的な人を
無表情で見つめる
時間と体力の
無駄にしか思えなくて
やらなければならないことは
やらなければならない
泣いても笑っても
時間は刻々と過ぎてゆく
ティシューとコーヒーを置いて
立ち去った
わたしはひどく
冷たいらしい




