1/39
Ankle ★ Twinkle
冬枯れた桜の枝にとまる夕日
番の鴨が飛び立ってゆく
誰かのサックスが耳元で弾んで
振り返った先のネオン・ライト
かきあげた髪が街の火を孕む
意味もなく
甘い声でささやくのは
膜の内側に虚無を飼っているから
あの子は自傷行為と言ってたっけ
わたしは刃先をなぞるだけ
溜め込んだ涙が腐敗する前に
あえて轡を噛み切るの
ごめんなさいね?
手綱なんてないのよ
生命の砦に挑むだけ
爪先から凍りつくまでは
赤い靴で踊るわ
わたしに優しい人は
もういないのだから