ここは俺にまかせて先にいけ!
ハゼル:やあ、万策尽きたかい?撤退する?しちゃう?
ヴィルヘルム:クソ、他人事だとおもって・・・
カテリーナ:アイテムは残念ですが、これ以上の損害は出せません。撤退します
狛猫:ごろごろ(レベルを上げてからリベンジだな)
ハゼル:ふーん、じゃ今から手出ししてオッケー?
ヴィルヘルム:・・・何する気だ
ハゼル:可哀想だからアイテム回収してあげるよ☆
カテリーナ:本当ですか!?何か策が?
ヴィルヘルム:・・・他ギルドの手をわずらわせる案件じゃない。結構だ
ハゼル:わずらわせる?ふへへっ
ハゼル:この程度で恩に着せるわけないだろう?僕らの仲じゃないか!
ヴィルヘルム:何を企んでいる
ハゼル:じゃあはっきり言おう
ハゼル:動画の撮れ高が、足りない
ヴィルヘルム:ああ、お前はそういう奴だったよ
狛猫:にゃ(瞬殺だったものな)
カテリーナ:すみません、もうちょっと良い線いくと思ったのですが・・・
ヴィルヘルム:で、お前に任せれば万事解決するんだな?
ハゼル:おう!でもこの作戦、カテリーナちゃんの協力が必要不可欠なのだ!
カテリーナ:私、ですか?
カテリーナ:私に出来ることなら、何でもしますから!お願いします
ハゼル:ん?何でもって言った?言ったな?
狛猫:ふしゃー
ハゼル:おっと、警戒しなくていいよー
ハゼル:撤退する前に、機械兵に水魔法を撃って、最大威力で。それだけ。
カテリーナ:それは可能ですが・・・
ヴィルヘルム:確実に反撃されるぞ
ハゼル:ないない。カテリーナちゃんに機械兵の反撃なんて僕がさせない
ハゼル:さっそく実行したまえ!僕はいつでもいける!
狛猫:うにゃ(なんだろうこの悪魔と取引する感)
呪文詠唱が始まった。機械兵は我関せずとまたうさちゃんをぷちぷちしていた(ソフトな表現)。
『天よ我が仇敵を穿て!レインフォール!!』
『レインフォール』は『魔法使い』の中級水魔法スキルだ。今現在のレベルで習得できる魔法のなかでは
最大の威力だろう。彼女はきっちり仕事をしてくれた。
雨が降ってきたんだ、傘をささないと。
装備武器 古代ビニール傘 効果:『完全撥水』
「機械兵くん、あぶなーい!」
僕はそう叫びながら、機械兵に魔法が直撃する寸前、間に割って入ると・・・傘をさした。
『完全撥水』、つまり水魔法は全反射される。このままだと『アヴァロン』に少なくないダメージ
が入るが、すかさず『守護騎士』狛猫が『マジックガード』で軽減した。計算通りだ。
「てめぇ何を「危ないところだったね!大丈夫かい?」
ヴィル君の発言にかぶせて僕は機械兵に努めて優しく声をかけた。
そして怒りに身を震わせながら、『アヴァロン』に向き直り渾身のシャウトを浴びせる。
「君たち、一人によってたかっていじめるなんて、人として恥ずかしくないのか!?」
「・・・!」
僕の行動の意図をいち早く察したのはヴィル君だった。君はいつも僕を理解してくれるね。
「どこのだれだか知らんが、よくも俺達の邪魔をしてくれたな!」
「いじめの現場に遭遇したんだ、助けるのは当然だろ。・・・まだやるかい、この僕相手に」
「くっ、さっきの反射ダメージが・・・今日はこのくらいにしといてやるぜ」
微妙にダメージを与えたことで説得力が倍増する。ここがミソ。
ここで他二人も追随する。
「てったいですー」
「みぎゃー(おぼえてろー)」
若干演技力に欠けるが、十分だろう。三人はそのまま逃げていった。
「逃げ得なんて、させるものか!機械兵くん、彼らの犯行の証拠を所持しているなら、
どうか僕に渡して欲しい。その証拠を持って、然るべき機関に訴えなければ!
彼らに報いを受けさせようじゃないか。僕を信じて、託してみないかい?」
さあ、どうだ?
意気込む僕をよそに、機械兵はあっさりと『証拠品2つ』を差し出した。
ちょろい。
「ありがとう。さっそくこれを持って・・・」
『証拠品』に伸ばした僕の手が金属のアームにガシっと掴まれた。
「報い?どうでもいい。傘をみせろ」