#未公開カット9
行き先はどうやら『神殿』らしかった。
前方に白く輝く荘厳な建物がそびえている、多分
アレだろう。形は何だかエジプトのピラミッドに
似ている。
「セド君は神殿に入ったことある?」
「いや一回もないぜ。親父ですら入ったことないんじゃないか、神殿の関係者以外は立ち入り禁止だったしな。」
入り口には衛兵が立っていたが、メルティちゃんが同行しているため当然スルー出来た。
中に入るとそこは…驚きの白さ。
床も壁も天井も白く、つるりとした光沢のある材質。
所々に金属製のスライドドア、窓は一つも無い。
まあいわゆる近未来的な研究施設といった風情だ。
見慣れぬ場所にセド君はあんぐりと口を開けている。
「ウチのギルドの内装に似てるね」
「えっこれ、普通なのか!?世間的に」
「この世界においては特殊ですわ。ハゼルのギルド、その様子ではパンドラの街で悪目立ちしてません?」
「外装はちゃんと空気読んでるから!僕はね、常識人なの」
「は?」
セド君が度し難いといった顔で僕を見た。
「クロガネが肩入れする人間なんて、INTが高いサイコパスだと相場が決まっているのですわ!」
全部クロガネが悪いって事だな把握した!
昇降機に乗り込んで、建物の最深部へと降りていく。
メルティちゃんはロックされた扉を次々に開けて通過した。
「…なあ、こんなに厳重に管理されてるモノって、相当ヤバいんじゃないか?」
さらに極めつけがコレ。
「二人とも、この防護服を着用なさい。」
長居は無用、さっと見学してさっさと退散した。
地下では液体の中に巨大な金属の四角柱が沈められているのを窓越しに見た。問題はその状態でさえ地下全体が熱気をおびていること。熱源は明らかに四角柱だ、その周囲の水がゆらめいている。
僕はそれらを目にした瞬間セド君の腕を引いて一目散に逃げた。
「お、おい!どうしたハゼル?」
「正しい判断ですわ、セドもアレを見終わりましたわね?」
「…おう、さっぱりわからねーけど。あとで全部説明しろよな」
「あー、暑かった!街だって涼しくはないけど、地下に比べたら天国だな」
セド君が防護服を脱いで言った。
走りだした後すぐにへばった僕を、セド君とメルティちゃんが引きずって神殿の外に出た。
「んで、アレは何なんだ?なんか熱いものを冷やしていたってのは分かるんだが」
「あの金属の箱は『ブラックボックス』。大気を汚染する魔素、魔素の塊である魔石を取り込み、私達機械兵の動力に変換する装置ですの。所持者は実験場管理者の資格を得ます」
「あ、それってクロガネの棺桶の名前と一緒じゃん」
「到底持ち歩ける重量ではないはずですけど…まあそれと同じ類のものですわ。
この世界は本来、魔素が濃すぎるため生物が生存出来る環境ではないのです。それをブラックボックスの魔素浄化作用によって生存に最適な環境に変えたのですわ。
私の所持しているブラックボックスは過度の使用によるオーバーヒートを起こしていますの。爆発寸前といえば分かりやすいかしら?魔素の浄化もままならなず砂漠化が進み、同時に魔素の変換効率も低下しています。
つまり、カノプスの機械兵の戦闘力が格段に下がっているのですわ。
この状況で大型の魔物を相手にするのは正直かなり難しいのです。」




