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「おなかいっぱい・・・ねむい・・・」
「なにさロボが眠いって、あれ、+3?」
+3の首ががくりと傾いで、そのまま動かなくなった。・・・もしかして魔石食わせたのはダメだったか?
そんな動揺にさらに追い討ちをかける事態がおこる。
+3の口から左腕が出てきた。
「きゃあっ」
鐚ちゃんが性格に似合わない可愛らしい悲鳴を上げた。
「機械兵は転送装置を作成するほどの技術を有している・・・だと・・・」
僕もちょっと驚いた。
「お前は驚き方までずれてんのか!ていうか転送?何の話だよ?」
「いやあの左腕、機械兵のやつじゃん」
この場からもう離脱して距離をとっているであろう機械兵の左腕が+3の口から出ている。そういうことだ。
ん?この左腕はさっきからずっと拳を握ったままだ。動かない握りこぶしにダイイングメッセージが握られている可能性はおよそ70%にも及ぶ。故に気になる。僕が拳を開かせようと手を差し出すと、待ちかねたとばかりに手のひらを下にして握りこぶしは開かれた。そして当然握られていたものが、『かちゃり』と僕の手のひらに落ちてきた。
「・・・知恵の輪?」
楕円に十字がくっついた形の、いわゆる護符の『アンク』を模した金属のパーツが四つ、複雑に組まれたパズルだった。
左腕の用事は済んだようで、さっさと口の中へ引っ込んでいった。そして
「はっ、いしきがなくなってました!これがうわさの『ねおち』というやつですね。わたしもすっかりにんげんじみてきましたよね」
+3の寝起きの一言である。今起きた現象は明らかに人外じみてたぞ。同意を求められた鐚ちゃんは目をそっと逸らしながら「お、おう」と答えた。
「えーと、+3、この知恵の輪的なものはなんだ?」
「おろかなこどもにおくる『ちいくがんぐ』です」
「・・・ハゼル、なんかそれヤバそうだぞ。いじったりするのはやめ」
かちり
ああ、6秒もかかってしまった。左腕が折れてなかったら3秒で分解せたのに。
『生産スキル【精密機械Lv.1】を取得しました。』
「・・・」
「おい、ハゼル?大丈夫か?」
「ツンデレか・・・」
「は?」
僕が今知育されてはっきりと理解したのはこの世界『精密機械』のごく基本的なことについて。
たとえば巨大な金属ウサギのバラし方とか。
「今となってよく見ると結構単純なつくりだよね、あのウサギ。よく出来てるけど。初心者向けだ」
「なんだ、興味でてきたのか?」
「いや、君に攻撃手順を教えたら僕はもう帰るよ。試したいスキルがあるしね」
「・・・わかった。」
鐚ちゃんは好戦的な笑みを浮かべてそう請け負った。